Introduction
第一話 IS学園のイレギュラー
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本意ではないとはいえ原因の一端が自分にあるのでちょっと罪悪感を感じてしまう。
代表候補生で専用機持ちであれば、もっと盛大な拍手で迎えられてもいいはずだ。
せめて視線に精いっぱいのお詫びを込めて見守ることにした。
声かけたり拍手を強める? 戦場に目立つ格好で単身乗り込むような真似できません、ええ。
「そもそも、出席番号が主席二人に挟まれてる時点で詰んでるッスよ……」
肩を落とし、ボソッと呟きながら席に戻るサファイアさん。
貴女は立派に戦いました、その名前は僕の中に永遠に刻み込みます。
「次、更識楯無」
「はいは〜い」
この空気の中で物怖じせずにまっすぐに教壇に向かう女子生徒。
目の覚めるような青い髪に、幼さが残るものの整った顔立ち。それでいて人をまるで手玉に取るようなその表情は大人びた印象も与える。紫音とは違った意味での美人だった。
「ロシア代表の更識楯無よ。近いうちに学園最強の生徒会長になる予定だからサインが欲しい人は今のうちにね。とはいっても皆と同じ一年生だから気軽に接してくれると嬉しいわ。以上!」
彼女はそういいながら手に持っていた扇子を広げた。そこには『更識楯無』と自身の名前が記されている。
ロシア代表。候補生ではない。つまりこの年にして既にロシア最強の操縦者ということになる。
この学園に現役の代表はいないので、つまり彼女の言葉通りすぐにでも学園最強となるだろう。
彼女がもう一人の主席らしいので、勉強方面でも抜かりないということになる。
うん、もうこの後の展開は予想できるね。
「キ……」
よし、耳を塞いでおこう。
……それでも聞こえてくる黄色い悲鳴。よくこれだけ続けて大騒ぎできるものだとむしろ感心してしまう。
はぁ、それにしてもこのクラスどれだけ有名人が集められているんだろう。
さっき千冬さんが言ってたけど専用機持ちはこの学年では3人だけって話だからこれで全員だ。
厄介事が起こりそうな生徒を全部千冬さんに押し付けたのか……、どんまいです。他人事じゃないけど。
更識さんと目が合い、なぜかウィンクされたので微笑みを返しつつ軽くお辞儀しておいた。
その後は大きな問題もなく自己紹介は進んでいき、SHRは終了する。
これだけ疲労感たっぷりなのに、まだ一時限目すら始まっていない事実に愕然とする。
とはいえ、今までいい思いがなかった学生生活だが、このIS学園ではそれまでと違う何かを感じていたのも確かだった。友人らしい友人なんて束さんしかいない。あとは千冬さんも少し違うけど似たようなものかな。
たとえ僕がこのIS学園では許されざるイレギュラーであったとしても、ここでの学園生活に少しくらい期待を抱いても罰は当たらない……
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