Introduction
第一話 IS学園のイレギュラー
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う。
訓練機だったらどうか、などということは考えても意味はない。
なぜなら僕はこの専用機以外は動かせないから。
理屈はわからないけど未だ僕以外に存在しない男性操縦者ということを考えれば何があっても不思議ではない。僕という存在がそうさせるのか、僕の専用機がそういうものなのか。謎解きはSTCがやってくれるだろう。
さて、そんな考察をしていても状況は好転しない。どうしたものか。
「うるさいぞ、馬鹿ども! 自己紹介すら満足に進めることができんのか、貴様らは! 西園寺、席に戻っていいぞ」
「は、はい。織斑先生」
突然教室に響き渡る声に、教室はしーんとなった。
織斑千冬。束さんの親友でありIS界最強の操縦者であり、期間は短いが僕の剣術の指導をしてくれた先生でもある。ISなしでもその身体能力は凄まじい。噂では生身でISを相手にできるとか。そんな馬鹿な。
スーツに身を包みすらっとしたその出で立ちは、綺麗な顔立ち以上に格好良いという印象を受ける。
「山田先生、遅れてすまない。さて、諸君。私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。1年間で君たちひよっこを使いものにするのが私の仕事だ。私の言うことは一言一句聞き逃さず理解し、実行しろ。逆らってもいいが相応の覚悟をもって逆らえ、いいな」
某国の亡き総統も真っ青な独裁宣言だ。
いや、逆らってもいいとは言ってもその末路が悲惨なものしか想像できないですよ……?
「キ……」
あ、また……。
「キャーーー!本物の千冬様だわ!」
「千冬様に教えて頂けるなんて光栄です!」
「あぁ、もっと罵ってください!」
だから最後の!?
……このクラスはこういう人間が集まっているのかな……?
「まったく、去年に引き続きこの有様か。今年は専用機持ちを全て私のクラスに押し付ける始末。わざとやっているのか?」
千冬さんが何やらぶつぶつ呟いているが僕と同じ印象らしい。
うん、さすがにこんな状況見続けたら女性不信になるかもしれない。
「このままでは自己紹介が進まん。次、フォルテ・サファイア。前に出ろ」
そう言いながら千冬さんが僕の後ろの席に視線を向ける。
「えっ! この空気でって何のイジメッスか……!」
彼女の言い分は最もだと思う。でも千冬さんの有無を言わせない視線が突き刺さっている。
サファイアさんと呼ばれた女子生徒は、まるでトホホと聞こえてくるような背中を見せながら教壇へと向かっていった。
「え〜、フォルテ・サファイアッス。一応、イタリアの代表候補生で専用機持ちッスけどそんなに気張るつもりもないんで適当によろしくッス」
疎らな拍手が起こる。うん、これは酷い。彼女は何も悪くないのにこの空気では公開処刑だ。
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