Introduction
第一話 IS学園のイレギュラー
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のも自分の意志ではない。半ば強制的に入れられたようなものだ。 学園に向かう足取りが重くなるのも無理はないと思う。
そんな憂鬱な初登校の最中、不意に携帯が鳴った。
「はい、もしも……」
『やっほーしーちゃん! みんな大好き束さ』
「……さようなら」
こちらの気分を無視してやたらハイテンションな女性の声が聞こえてきたので思わず切ってしまった。
後悔はしていない、どうせすぐにかけ直してくるだろう。ほらきた。
『ひどいよしーちゃん! せっかく束さんが初登校で不安いっぱいなしーちゃんを心配して電話したのに!』
「ごめんね、束さん。ご想像通りちょっとアンニュイなとこにいきなりだったからちょっとうざ……びっくりしちゃって」
『なんか心の声が聞こえかけたけどいいよ、許してあげる! だから今度うちに来たときは一緒にお風呂に』
「切りますね」
『うそうそうそ、切らないでぇ』
「はぁ……」
正直、彼女のこういうところは面倒くさい。この人がISの開発者、篠ノ之束なのだがこのやり取りだけ聞いてたら誰も信じてくれないだろう。
束さんとは、彼女がISを発表するちょっと前ぐらいに出会った。身内や一部の人以外には毛ほども興味を示さないことで有名なのだが、それは当時も一緒だったと思う。でも、何かが彼女の琴線に触れたのか気に入られてしまい、IS開発者として世界中から追われ逃亡中の身となった今でもこうして交流が続いている。
「それで、用件は?」
『うん、IS学園でのことはわたしからもちーちゃんにお願いしておいたから。あそこでしーちゃんの秘密を知っているのはちーちゃんだけだしね。あ! でももしバレたら情報操作は束さんにおまかせだよ! 最悪、物理的にいろいろ消滅させちゃうから安心してね!』
「……ありがとう、でも絶対バレないようにするね」
いろいろ不穏な言葉が聞こえたけど気のせいだろう。
ちーちゃんというのは束さんの親友である織斑千冬さんのことだ。
ISの世界大会であるモンド・グロッソの第一回大会の優勝者という、束さん同様IS界の超有名人で今は学園で教師をしているらしい。
束さんを通じて面識はあるのだが、今回入学するにあたり特殊な事情がある自分のサポートをお願いしたところ、渋々ながら受け入れてもらえた。こちらの事情に同情してくれたこともあるんだろうけど、束さんのプッシュが大きいだろう。何だかんだ言っても束さんには感謝している。いや、感謝してもしきれない。
自分が自分のままでいられたのはあの日束さんに会えたからだから。
『さて、朝はあまり時間もないだろうからこの辺にしとくね。束さんからの贈り物については後でまた説明するよ!』
最後まで元気な束さんに振り回された気分だが、電話を切るころには
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