第132話
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お昼の二時といった所だった。
先に吐くかも宣言を本気で信じた一方通行は、近づいてくる打ち止めの顔を掴んで遠ざけながら、怪訝そうな顔で桔梗の後頭部を見た。
「どこ向かってンだ。」
「私の知り合いが働いている学校。
待ち合わせみたいなものよ。
キミ、今の学校をやめてしまうのでしょう?
それが何を意味しているのは分かっているわよね。」
学園都市に住むほとんどの学生は寮を利用している。
中には街のパン屋などに居候しているケースもあるが、それは極めて稀だ。
この学校(正確には学校含む能力開発機関)の枠から抜けるというのは、同時に寮という住所を失う事でもある。
常に学園都市の不良達から狙われ、寮の部屋も荒らされている一方通行には住処に対する未練はない。
家具だって一つ残らず壊されているだろうから価値もない。
だが、屋根のある空間を奪われるというのは結構大きな出来事だ。
そういったリスクを負ってでも、一方通行が学校を捨てるという選択を採ったのには理由がある。
「絶対能力者だなンだっつーのに関わンのはもうゴメンだからな。」
一応、直接的にその『実験』を行ってきた機関はもう潰れている。
しかし、妹達を使った研究施設が消えたとしても呪縛が全て解ける訳ではない。
彼の通ってきた学校にも、規模の違いこそあっても『特殊開発研究室』というものが存在する。
教室の生徒は彼一人だけという、実質的には実験動物を隔離する飼育小屋のような四角い空間が。
あらゆる意味で血まみれの世界と決別するなら、これまであった全てを捨てるしかない。
研究所も、学校も、学生寮も、その全てを、だ。
今度はそういった『強い意志』を持たない学校を選ぶしかない。
一方通行という魅力的すぎる研究対象を前に、本当に目の色を変えない研究者など存在するかどうかは分からないが、探すしかない。
あまりにも特殊すぎる一方通行や打ち止めは、学園都市の外には居場所がない。
そして、学園都市内部で学校を利用しなければ、後は路地裏の武装無能力集団のように生きていかなければならない。
学園都市最強の超能力者がそんな選択を採れば、待っているのは全ての破滅だ。
一方通行は唇を歪めて、助手席に座っている桔梗に言う。
「で、今後はオマエの管理下に収まるっつーのが統括理事会の決定か?
まァ、オマエだったら研究分野的にもおあつらえ向きだとァ思うけどよォ。」
桔梗はかつて『実験』に参加していた研究メンバーで、打ち止めなどのク
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