ひとりの人
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「あはははははっ!!!」
そして、その小さい笑い声は、高笑いへ変わった。
「爆心地中央にエーテルナノ中和物・・・い、いえ・・・これは・・・!」
しましま模様のカエルが、突然声を響かせた。
「融合体濃度急速に低下!」
「別エネルギーと思われる高魔力発生!」
「カウンターが追いつかない!」
「何だこれは!?」
「映像回復します!」
煙が晴れはじめる。
そこに、ルーシィ達の知る楽園の塔はない。
「な、何・・・あれ・・・」
ジュビアが呆然と呟く。
「外壁が崩れて・・・中から水晶?」
「いあ、ただの水晶にしては凄まじい量の魔力を感じる・・・が、面白くはねぇ」
グレイの言う通り、そこにあったのは水色に透き通った水晶だった。
漸くアルカが感情を取り戻し、いつもの調子で口を開く。
が、その表情はまだ強張っていて、身体が小刻みに震えていた。
「ねぇ・・・無事だよね?ナツもエルザもティアも、シモンって人も・・・」
目に涙を浮かべ、ルーシィが呟く。
「大丈夫だよ・・・きっと・・・ううん、絶対無事だよ」
その言葉はルーシィを落ち着かせようと言ったのか、それとも自分を落ち着かせようと言ったのか。
ルーが今にも泣きだしそうな顔で体を震わせながら、水晶を見つめた。
「いってぇ・・・」
楽園の塔の階段―――エーテリオンが落ちたからか、階段はなくなっている―――にいるナツは、右手で顔を覆った。
「大丈夫か?ティア」
「何とか・・・」
左腕で抱き寄せたままのティアに目を向けると、彼女は左手を床についてバランスをとっていた。
ティアから香る謎めいた花のような甘い香りが、滅竜魔導士の常人離れした嗅覚&至近距離でナツの鼻を擽る(髪を中心に香る為、彼女のシャンプーだろう)。
右手はしっかりと帽子を押さえていた。
「何がどうなってやがる」
「エーテリオンが落ちたのよ・・・」
壁だった瓦礫にもたれ掛かる様にして、シモンはいた。
呆然と、呟く。
「エーテリオンは落ちた・・・な、なぜ俺は生きてる?」
ははははは・・・と、ジェラールの高笑いが響く。
「ついに・・・ついにこの時が来たのだァ!」
「お前・・・」
高笑いするジェラールを、エルザは呆然と見つめる。
「くくく、驚いたかエルザ」
笑みを崩さないまま、ジェラールはエルザの方を向く。
「これが楽園の塔の真の姿。巨大な魔水晶なのだ」
そこまで言い、腕を広げる。
「そして評議院のエーテリオンにより、
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