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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第4話「SIN」(後編)
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前のことが心配で、迎えに来たんだ」
「わたしの、おともだち……?」
「ああ。それよりどうした、そんなに泣いて」

 少年の指が童女の涙を拭う。しかし、すぐにまたじわりと瞳が潤み、涙がにじみ出て童女の頬を伝い落ちていく。

「アズが……わたしのこと、わるい子だって……」

 童女が、少しずつ、言葉を紡いでいく。

「お父さんも、お母さんも、わたしのせいで、いなくなりました―――」

「あのこと、せんせいを、ころしました―――」

「ひとりぼっちがイヤで、ナイトのパートナーになりました―――」

「ナコちゃんを、まきこんだのに、ともだちができて、うれしいっておもいました―――」

「いんちょぅさんに、小さいころのこと、しゃべって、わたしのこと、みてほしいって、おもいました―――」

「だから、わるいこで、わたし、ゆるしてもらえない、ゆるしてもらえない……です」

 身体が成長しても、心の中でずっと消えないでいる、罪の意識―――決闘の理由。
 少年は、なおも涙を流し続けるアズを引き寄せて、抱きしめた。

「アズ、よく聞け」

 童女を赦してやれる人間は、もうこの世にいない―――だからこそ、アズは自分で自分を罰しようとしている。あのデュエルピースは、まぎれもないもう一人のアズ。
 だが、それでも。

「資格なんかなくても、俺は、お前をゆるしたい」

―――闇の中、血だまりに沈む少女の人差し指が、ぴくりと動く。

「たとえアズがお前を赦さなくても、俺が―――グラナイトも、諸星も、お前をゆるす」

―――少年の声を、はっきりと少女の鼓膜がとらえた。

「忘れてくれるなよ。「アズ」は独りだが、お前には、俺たちがいるから」

―――赤の空洞に成り果てていた少女の瞳に、再び命の光がともる。

「だから……立て! アズ―――!」


                     *     *     *


 少年が眼を開けると、そこはアナザーデュエルのフィールドであった。委員長の足元に、血塗れで倒れ伏すアズの姿。思わず少年が叫ぶ。

委員長
「おい! しっかりしろ!」

 その声を確かにとらえて、アズがゆっくりと起き上がる。胸の傷を押さえ、口の端からは血が流れているが―――出血は止まり、傷自体はふさがっていた。

アズ
「委員長さん……大丈夫、です……」

 委員長に背中から支えられ、よろめきつつもアズが立ち上がる。その様子を闇アズサが、驚愕の表情で見つめている。

闇アズ
『どうやってここに……それに……どうして傷が治っているんですか!』
アズ
「わたしは……ダメージ計算後のタイミングで、このカードを発動しました……!」

 アズが指示したカードは
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