デュエルペット☆ピース! 第4話「SIN」(後編)
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、母と、暴虐を振るい続ける父を見つめる。その視線に気づかないほど、できた父ではなかった。
『何見てやがる!』
拳がアズめがけて振り下ろされる。その瞬間、母が娘を抱きかかえ、拳を背中に受けて庇った。ごりぃっ、と、背中に拳骨がめり込む嫌な音が部屋に響き渡る。思わず耳をふさぎたくなる種類の、少なくとも尋常の音ではない。しかし、そんなものは聞こえていないかのように、夫の殴打はなおも続いた。
母に抱かれながら、意識が半濁したままのアズの、弱々しい祈りが委員長の耳に聞こえてくる。
『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』
『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』『ごめんなさい……ゆるして、ください』
もはや、祈りではなく―――委員長には、呪いにすら聞こえた。
『この野郎!』
誰を指しての咆哮だったか―――父が、娘を庇ってうずくまる母の背中を、渾身の力で蹴った。娘ごと母が転がり、一回転してあおむけの状態で動きを止めた。衝撃に、童女は母の手から離れ、部屋の中央まで転がって、完全に意識を失っていた。
荒い呼吸を繰り返す父が、突然台所へ向かう。その行動の目的に思い当って、委員長は思わず、あっ、と声を上げた。誰の耳にも届かなかった。
台所から戻ってきた父の手に、包丁が握られている。気絶してる娘の横を通り過ぎ、一歩、また一歩と、倒れている母の元へ凶器と狂気が迫っていく。
『お前は、梓咲を生んでから娘のことばっかりで……何一つ嫁らしいことをしなくなったな……』
ぼろぼろに傷ついた母は、夫の言葉が聞こえているのかいないのか、弱々しく頭を横に振る。
『お前は、結局亭主なんかどうでもいいと思ってやがる……俺と結婚したのだって……梓咲が欲しかったからだろうが……この淫売!』
とうとう、父が母の上に馬乗りになった。死が迫っていることを認識したはずの母の顔に、あまりにも奇妙な、悪魔のような微笑みが浮かんだ。
『何がおかしい!!』
吠え猛る父に向けて、母は言い放った。
『梓咲じゃない
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