デュエルペット☆ピース! 第4話「SIN」(中編)
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空気の中にむなしく溶けゆくだけであった。
* * *
目を覚ますと、闇の中にいた。闇の中だというのに、視界が嫌にはっきりしていて、「何もない」空間であることは、一目でわかる。
「これは……いったい……」
『ここは、「アズ」の中よ。あなたであり、わたしでもあるもの……』
いつの間にか、正面に闇アズサが立っている。先ほどまでのデュエル中と同様、少しの距離を開けて、二人のアズが向かい合っていた。
『アズ、デュエルピースとしてのわたしの力を教えてあげる。デュエルピースであるわたしは、シャアラ。ジェイドメア・ザ・シャアラよ』
「シャアラ……シャハラザード?」
『よく知っているわね。でも、少し違うわ。男を寝かさないアラビアンナイトの姫君とは違って、シャアラは人を眠りにいざなうの。そして、望んだ夢を見せる……シャアラの願いと、その人の心の中にある情景が重なった時、夢は魔力を得て、シャアラの力になってくれるわ』
「夢……まさか、昨日と今日の夢はあなたが……?」
『そうよ。シャアラが見せたの。あなたのこと、たくさん知りたかったから、あなたのこころの一番奥にあるものを見せてほしいと願った。そうしたら揺り起こされたのが、あの夢だったの。子供のころの、つらくて、くるしくて、さびしくて、それでも愛されていた、「アズ」の記憶。とても惹かれた……シャアラはあなたのことが、もっともっと好きになって、愛したくて……あなたになりたいと思ったの』
闇アズサが、一歩、また一歩とアズの方へ歩いてくる。アズは動けなかった。
『でも、あなたのことを好きになったのは、シャアラを手に取ってくれたその瞬間』
「手に取った……? あ……!」
昨日の浮浪者風の男と戦った時、倒したデュエルピースを吸収し、カードを手に取った瞬間の光景が思い出される。
『あのとき直感したの。この子は素敵だって。前の宿主が全然魅力的じゃなかったのもあるから、アレはポイ捨てしちゃったけど……でも、そんなの忘れるくらい、アズは素敵。苦しくて、辛くて、寂しくて、それでも誰かを守りたくて、戦って、そして誰よりも、愛されたがっている。狂おしいほど、けなげで、一途で、よくばり。そういう「アズ」に、シャアラはなりたいの』
デュエルピースの称賛を受けて、アズはたじろぐ。心の奥底をえぐられるような痛みを伴う称賛。デュエルピースは本気で、愛情の証としてアズに成り代わろうとしている。そのことが、本能で感じられた。
飲み込まれてはいけないと、必死に白獅子や級友の顔を思い起こしながら、アズは言葉を発する。
「でも……どうしてデュエルを中断したんですか!?」
『中断……じゃないわ。これは、カードとしてのシャアラ
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