デュエルペット☆ピース! 第4話「SIN」(前編)
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…でもあたしをフォローに行かせたしな……」
「そうですね……わたし、直接聞いてみようかな」
「え? 大丈夫かよ。またヘコまされるぞ」
「いえ、でも今朝は挨拶してくれたし……敵意とかはないと思うんですけど。とりあえず放課後にでも」
「じゃああたしが付いてって……ってワリ、今日バイトの日だわ、だったら明日にして―――」
「いえ、今日行きます。わたし、クラスの雰囲気もこのままじゃいけないと思うし、委員長さんと仲良くなれたら、雰囲気も変わりやすいだろうし……何より、ナコちゃんに勇気をたくさんもらったから、きっと大丈夫」
自分の言葉をかみしめながら、アズは胸に手を置いた。
「そっか、それなら任せるわ。でも、ヒデぇこと言われたらすぐあたしに言えよ。あんなモヤシ、バッキリいってやるから」
(それはちょっと……他人事じゃないなぁ……)
意気込むナコを、アズは苦笑いで見つめた。
* * *
6限が体育だったため、更衣室からアズが戻ってきた頃には、既に教室に委員長の姿はなかった。もう帰宅してしまったのかと思ったが、彼の机にはカバンが置かれたままである。
部活か、あるいは委員会活動の類か。その類の情報をナコから聞いておけばよかったと、アズは後悔する。仕方なく、誰もいなくなったファースト・プラムの教室で、彼女は少年の帰りを待つことにした。
四十分ほど待ったころ、唐突に教室の扉が開かれて、うとうとしていたアズが意識を引きずり戻される。眼鏡の少年は山ほどの紙束を抱えた状態で、無理やり教室の引き戸を足でこじ開けたような有様だったところ、アズの姿を視認して驚き、つい、紙束を抑えた手を緩めてしまう。
「「あっ!」」
二人の声が重なると同時に、教室の床一面に紙束が散らばり、白と茶色の無秩序な模様が出来上がるのだった。
「ご、ごめんなさい!」
アズが駆け寄って、急いで紙を拾い上げようとする。だが紙上に印刷されている内容が様々に異なるうえ、下部に頁番号が振られているのに気づき、手を止めた。
「もしかしてこれ……順番が決まっていたんですか?」
「ああ。今度の林間学校のしおりだ。ただし……綴じる前の」
あくまでクールに、しかし心なしか少しげんなりした様子で、委員長が答える。
「あぁ……わたしとんでもないことを……」
「別にいい。落としたのは俺だ。とりあえず順番はいいから、拾ってくれると助かる」
「わかりました!」
アズがせわしなく手を動かし始める。眼鏡の少年は同じように紙束を手際よく拾い上げながら、やはりアズの様子を観察する視線を向けていた。
* *
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