デュエルペット☆ピース! 第3話「英雄超克」(後編)
[6/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
『アズ! しっかりするんだ!』
白獅子がアズの元へ駆け寄る。地面に叩きつけられていた獅子は全身が汚れてぼろぼろになっていたが、それ以上に深い傷を負ったパートナーのために、自分の負傷も顧みず、ありったけの力で治癒魔法をかけ始める。獅子の手から発せられた光がアズを包み、ほのかな暖かさが傷の痛みを少しずつ和らげていく。
ナイト
『ともかく、胸の傷を塞ごう。それから腕も! 早いうちであればあるほど治癒も容易だ!』
アズ
「あり……がとぅ……」
痛みをこらえてアズが獅子に笑顔を向ける。獅子も笑顔でそれに返し、懸命に少女を元気づけようとする。苦しみを分かち、助け合う二人の姿は、まさにパートナーであった。その光景を、ガーネットはどこかさびしげな瞳で見つめる。彼女が捨ててしまった人間とともに生きる道を、白獅子は選び取ることができたのだ。その事実が、ペルシャにとっては少しだけ重く感じられた。
ガーネアイズ
『ちィッ! 余計な真似を!』
ガーネット
『ワタシとあんたじゃ、ああいう風にはいかないでしょうね。あんたに治癒術かけるとか、お断りよ。アズって子はカワイイから、まだ、考えてあげなくもないけど』
言い捨てて、たんっ、とペルシャが跳躍し、アンチヒーローの頭上を飛び越えてアズの足元に着地する。
アズ
「あなたは……あなたも、デュエルぺット……?」
ガーネット
『そ。キラキラ・アイ・ラブ・ガーネット。よろしくね、アズちゃん』
そう言っておどけながらも、ペルシャは冷静にアズの状況を観察していた。貫通された胸の傷は言うに及ばず、砕かれた右腕も、いかにデュエルペットの魔力を用いたところで、そう簡単に完治させることは難しい。ペットが数匹がかりで一晩中治癒術をかけ続けてやっと……といったところか。
そしてそれ以上に、デュエリストにとって利き腕を折られたことが何を意味するのか、ガーネットはよく知っていた。それはすなわち、新たな未来を引き当て、逆転の一手を導く神聖なる行為、ドローが潰されたということ。デュエリストはたった一度のドローで世界を変えるほどの力を発揮することがあるが、そのドローができない以上、もはや逆転の可能性はないに等しい。
ガーネット
『ねぇ。あなた、まだ勝つ気はあるの?』
アズ
「勝つ……それは……それより、諸星さんを助ける手を……ガーネットさん、何かわかりませんか?」
ガーネット
『絶体絶命のピンチでまだ「助ける」……か。ホント、諦め悪いわね』
ガーネットは嘆息し、目を閉じて何事か考える。彼女が人間と協力することを捨ててしまった日から、既に二十数年が経過していた。その間、自由を謳歌しながらもどこか満たされない部分を抱えていた彼女の心が、今アズを前にして、少しだけ潤されていくのを感じて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ