デュエルペット☆ピース! 第3話「英雄超克」(後編)
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り微笑みを携えてパートナーを元気づけるのは忘れない。獅子はまぎれもなく紳士であり、それがまた可愛らしくなって、アズは膝の上に白獅子を乗せて左手で撫でまわした。
『はい、胸の傷は一通り終わったわ。傷自体はふさがったし、体組織も治ってるから。しばらくは痛いかもだけど、あとは自然治癒で何とかなるわ』
「も、もうですか? 刺されたのに……」
『デュエルペットの治癒術は、この世界の医療技術をはるかに凌駕しているんだ。しかし、それでもあれほどの傷をこの短時間で治すとは……さすがは十二至宝といったところですか』
『ま、それほどでも、あるわね。ルーキー君とは年季が違うのよ。さ、次は腕よ。右手はそのまま伸ばして……動かしちゃだめよ』
ガーネットの手から明るい光が放たれ、折れた右腕を包み込む。
「あの、デュエル中にも出てきましたが、「じゅうにしほう」というのは一体……?」
『デュエルペットの中でも特に実力と位の高い十二のデュエルペットを「十二至宝」と呼んでいるんだ。ガーネットはそのうちの一人なんだよ』
「そんなにすごい人……ネコさんだったんですか?」
『そうだ。十二至宝はそれぞれ一枚ずつデュエルピースの管理権を女神から授かっていて、さっきのように暴走したデュエルピースを鎮める特殊な力を持っている。今回は相手がたまたまガーネットの管理対象だったからうまくいったが、次からはこうはいかない……気を引き締めておいてくれ』
「……はい!」
* * *
「ん……ぅ」
「あ……気が付きましたか?」
諸星ナナコが目覚めると、転校生の少女の顔があった。ぼんやりとした頭で記憶を掘り起し―――すぐに思い出した。自分が一体何をしていたのか。
光るカードを手にした途端意識を乗っ取られ、異形の怪物に姿を変えられて―――同じく超常の力を操る眼前の少女と激闘を繰り広げた、その記憶が全て鮮明にナナコの脳裏によみがえる。
「諸星さん、身体に異常はありませんか?」
そう言って、アズは左手をナナコの方へ伸ばしてくる。右腕はだらりと地べたに横たえたまま、真紅の瞳を持つペルシャが無言でその腕に向けて光の粒子を放っている。
「ひッ……!」
超常の力がそばにあることを感じ取って、反射的にナナコは身を引きずってアズから距離を取ってしまう。
「あ……」
アズの顔に寂しげな色が浮かんだ。
「そう……ですよね」
誰にともなく、アズがつぶやく。白獅子は何か言いたげにアズを見上げたが、ガーネットが眼でそれを制した。これは、人間同士の問題なのだ。
悲しさと寂しさをできるだけ押し殺して、アズは笑顔を作った。
「あの、諸星さん、怖い思いをさせてしまって、
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