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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第3話「英雄超克」(前編)
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しいお別れってね』
『それは……』
『あんたは、失敗したのよ。人間とのコミュニケーションにね。デュエルワールドとこの世界の交わりは必要最低限にとどめるべし……でも、デュエルを共にするデュエルペットとパートナーの間には、強い絆と信頼関係が必要。ワタシたちが人間界に出るってのはね、その矛盾に挑んで、自分なりの立ち位置を見つけ出すってことなのよ? その辺ちゃんとしてないから……おかげであの子、これから大変よ』
『む……それには……返す言葉がありません……』

 白獅子が肩を落とす。それを横目に、ガーネットは小さくため息を吐き、前足を地に着いて四足歩行に戻った。

『ま、別にあんたをヘコませたくて来たんじゃないし。パートナー持たない主義のワタシが言うことじゃないしね。言ったでしょ。ワタシは遊びに……いや激励に来たの。さ、激励も終わったし、ひっさびさの人間界だし、なにしようかなぁっと』

 ガーネットが軽やかに跳躍し、再び電信柱の頂点に立つ。ナイトが見上げた時には既にその姿はなく、ただ、なぁぉぉん、と残した鳴き声が夜の町に響き渡るだけだった。


                     *     *     *


 6限終了のチャイムが鳴った。普段ならば教師が出て行った途端にざわめきが起こり、帰宅したり、部活動の用意に移ったりとせわしなく動き回り始める生徒たちのうねりは、今日に限って生じなかった。朝と同じ、張り詰めた空気とかすかな密談の声が生まれているだけである。
 アズにとって、今の教室空間はまさに拷問部屋だった。じりじりと追い詰められ、心臓を握られていくような、冷たい恐怖。
 一日分の冷気と疑念をため込んでしまった教室の空気に押さえつけられて、誰も席を立とうとしない―――と、次の瞬間、教室の前方で立ち上がる者が一人現れた。眼鏡をかけた細身の男子生徒、ファーストプラムの学級委員長である。アズを含め、教室の全員が委員長に注目し、そこかしこでくすぶっていた密談の声が全て止んだ。しん、と静まり返る教室内に、アズのところまで歩み寄ってくる少年の足音だけが、異様に響く。アズの机の前まで到達すると、委員長はためらわず口火を切った。

「お前―――小鳥遊さんもわかっていると思うが、今日一日、クラスの雰囲気は異常だった。明日からもこの空気が続くようだと、あまり好ましくない。だから委員長として、はっきりさせておきたいんだが―――」

 目を丸くするアズを前に、少年は一瞬ためらうも、振り切るように言った。

「衛士先生の変死に、お前は関係があるのか?」

 アズの視界が、一瞬ぐらりと揺れた。指先、足先のほうからから、体温が急速に失われていく。冷気の浸食が心臓付近まで届き、左胸に鋭い痛みが走った。

「それ、は……」

 昨
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