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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第2話 「聖職」(後編)
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エリストとしての格が違う者同士が戦うと、致命傷を与えてしまう場合も……ある』
「でも……わたしまだ、2度目ですよ……ね?」
『今のデュエル、君は相手に対して強い怒りを持っていた。それがモンスターに伝わって物理的な攻撃が急激に上がっていた。それに昨日も言ったように、君のデュエリストとしての潜在能力はすさまじいものがある……今回は相手が君のフィールドに引き寄せられていたことで、バリアを張る暇も与えなかったようだ』
「じゃあ……じゃあ昨日の相手の女の子は! あの子はどうなったんですか! わたしすぐに気絶して、あの子がどうなったか見てません!」

 ナイトはとうとう、アズから顔をそむけてしまう。だが、それでも彼には答える義務があった。アズの力なくして、その結果は生まれなかったのだから。

『デュエルに敗北すると、削られた4000ポイント分のダメージに加えて、相手の受けたダメージもその身に引き受けるペナルティが課される。昨日の相手は……デュエル終了とともに二人合わせて7700ポイント分のダメージを受け……消滅した』
「それって……死んだってこと……ですか」

 沈黙。それは肯定にしかならない。
 どしゃりっ、とアズの膝が砕けてアスファルトの上にへたり込んだ。呆然とした表情。首から下が小刻みに震える。恐怖も怒りもどこかへ行って、思考そのものができない状態だった。

「ぎゃぁぁぁ!」

 不意に響いたのは、アズの声ではなく、運悪く裏通りへ折れてしまった中年女性のもの。遺骸と、その前にへたり込む女学生の姿を目にして、腰を抜かし、動転しつつも、バッグから携帯電話を引っ張り出す女性。模範的な市民の姿は、後処理の方法を考えていたナイトにとっては災難でしかない。

(くっ……アズ、すまない!)

 パートナーとなるべき人間以外との接触は、極力避けるべし。人間界派遣にあたって、創造主たる女神から、ナイトが教えられた原則の一つだった。超常の力を用いるデュエルペットの活動は、この世界の理を破壊し、逆に争いを生みかねないという至極合理的な理由にもとづく原則だったが、生まれて初めて、白獅子はこの原則を疎ましく思った。彼女には支えが必要であることに間違いはないのだ。しかし同時に、昨日とは違って、獅子の姿が彼女にとっての悪夢と成り果ててしまったことも、また事実だった。
 ナイトは浮遊術を使って急上昇し、飛び去った。残されたアズの、地べたに落ちた膝小僧から、血が滲み出す。とっくに乾いていた朝のホームでの傷口が、ばっくり開いてしまっていた。


                     *     *     *


 刑事たちは、二日連続で署に連れられてきた少女を訝しみ、昨日と違って遺骸を前にしていたことを大いに疑った。少女は昨日のような休憩室で
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