デュエルペット☆ピース! 第2話 「聖職」(後編)
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動いているのだ。
ナイト
『皮肉だな……最後は力のない少女に葬られることになるとは……』
アズ
「いいえ……報いですっ!」
アズの怒りが頂点に達したことを受けて、薄幸の美少女の魔力の波動が一気に量を増す。衛士は、走り出していた。否、走らされている。
衛士
『ひっ……やめ……やめてください!』
ナイト
(この男に欲望を向けられた少女たちは、皆そう思っていただろう……。確かに、報いだな……)
衛士の拳が、薄幸の美少女へ向けて振り下ろされる。その瞬間、ヒビのはいった紫の指輪に残されていたORUの一つが焼失し、最後の魔力が形をなして、薄幸の美少女を守る形で不可視の障壁を作り出す。がきぃっ―――と鈍い音がして、衛士の拳が障壁にぶつかって、動きを止めた。
アズ
「レヴォル・リングの効果は……戦闘ダメージをわたしに移すことと、モンスターバトルにおける攻撃力を全てマイナス化すること! つまり!」
《DP. 02 紫水晶の革命指輪》ATK:0→ −500・☆10・ORU×7→6
衛士
『ひっ……ひぃぃぃっ!』
《薄幸の美少女》ATK:0→《DP. 02 紫水晶の革命指輪》ATK:−500
指輪に入っていた亀裂が、さらに広がる。マッテ―――という叫びが衛士の喉元まで出かかった瞬間、彼に力を与えていたデュエルピースは、粉々に砕け散った。薄幸の美少女は、ダイヤモンドダストのように空中を彩り光る指輪の破片に見惚れ、瞳を輝かせる。目前の無様な中年男はもはや眼中になく、先ほどまでの悲痛な表情は何処へやら、微笑みすらたたえて。美しいものしか目に入らぬ美少女は、死際にマッチを擦った童話のヒロインそのものである。
衛士
『あっひぃぃぃっ! ワタ、ワタタシのデュエルピィスゥゥ!』
残された指輪の破片が群れを成して、衛士の醜い叫びを置き去りにアズへ向かい、彼女のデュエルフォームを細かく切り裂く―――が、彼女は微動だにしなかった。破片の一つが頬をかすめ、つ、と一筋血が流れたが、これも気にもとめていない。
・アズサ LP:1850→1350(−500)
アズの脳裏に、幼い自分と母を虐げつづけた、父親の姿が浮かび上がる。自分は強くなった―――確信が湧き上がってきた。今の自分があの場所にいれば、母は父と刺し違えることなく、その血を自分が浴びることができたかもしれないと、そこまで考えた。
妻と子を裏切ったこと、それが衛士の不運であった。欲望を向けられることに対しては、アズは恐怖する。だが、裏切りに対しては、アズは一転、怒りを向けたのだ。中年男を殺すのは、指輪のデュエルピースなどではなく、むしろ左手薬指の誓約だったのだ。
アズ
「これでようやく……わたしの攻撃が届きます! 《デュエルナ
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