デュエルペット☆ピース! 第2話 「聖職」(前編)
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むかし、むかし、あるところに―――。
と、始めるほどには時の経っていない、ほんの100年ほど前のこと。サライエボの花火を皮切りに、人間の世界すべてを包み込む大きな火の手が上がりました。炎は何年も燃え続け、近くの人と、遠くの人とを焼き尽くし、ようやく消えました。火が消えたあと、西洋の小国に住むとある魔法使いが、この世の平安を願い、人間の世界を幸せにするために、もう一つの世界を作りました。もう一つの世界、デュエルワールドは、女神様によって守られ、この世界と同じようにたくさんの人々が暮らす世界です。そして、デュエルワールドの人たちの願いを受けて、女神様が生み出した決闘の精霊、デュエルペットたちは、人知れず人間の世界に降りて、人々の幸せのために尽くすことになったのです。
『それが私の世界、デュエルワールドだ』
「なんだか漠然とした説明ですね……」
『昔話の類だし、100年とはいえデュエルワールド創世の時代から生きているのは女神ただ一人だからね。私を含め、創世の詳細を知るデュエルペットはいないんだ。現代に生きる人間が神代の出来事を知りえないのと同じことさ。それより続きだ』
80年ほど平穏な時代が続いたころ、デュエルワールドに突然悪の怪人が現れました。怪人は女神様の力を奪い取り、人間の世界に解き放ったのです。女神様の力は人間には強すぎるものだったので、たちまち人間の世界に不幸があふれ出してしまいました。
「その女神様の力というのが、デュエルピースですね!」
『ああ、察しがいいね。20年前にデュエルピースが飛び散ったあと、デュエルペットの使命は人間とコンタクトをとって幸福をもたらすことから、デュエルピースの回収へと移り変わったんだ』
「でも、今でも探しているってことは……まだ全部は見つかっていないんですか?」
『恥ずかしながら……デュエルピースは全部で13枚、昨日君のおかげで回収できたものは……1枚目だ』
「ええぇっ!? 20年も探してて、今日が1枚目? それって……単純計算であと240年かかりますけど!?」
『仕方ないだろう……デュエルペットといっても頭数に限りはあるし……なによりこんな小さい身体では限界があるんだ!』
ナイトはそっぽを向いてしまう。その姿に少女の本能が再度刺激されたが、重要な話題故に、アズは愛玩衝動をなんとかおさめた。
『ともかく私は、この世界で残るデュエルピースを探さなくてはならない。残念だが……君とはこれでお別れだ。登校の邪魔をして、悪かったね―――さよなら』
急速に、白獅子の姿が小さくなり、ついにはアズの肉眼ではとらえられないほどになってしまう。突然の成り行きに驚きの声を上げる暇もなく―――アズは目を覚ました。
* *
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