デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(後編)
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いる。
『私は、デュエルワールドからの使者、デュエルペットのグラナイト。勇敢なお嬢さん、もし私に慈悲をくれるなら、どうか君の名をお教え願えないかい?』
三頭身の白獅子が、人間の紳士がそうするがごとく、胸に手を当て、頭を垂れる。その姿がなんとも愛らしく、少女はまぶしいほどの笑顔を浮かべた。今朝この部屋を出る際に、両親の写真へ向けて以来、実に14時間半ぶりの笑顔。獅子が自分を元気づけるために来てくれたことが、涙が出るほどうれしかった。こんな気持ちを抱いたのは、両親が亡くなって以降、初めてかもしれない。
少女は恭しく一礼すると、獅子に慈悲を与える。
「わたし、小鳥遊アズサです。親しい方は「アズ」と呼びますから、あなたもそう呼んでくださいますか?」
『了解した、アズ』
「ありがとうっ、ナイト!」
いいように自分の名を縮められ、ナイトが大げさに驚く仕草をする。その姿、目一杯、愛でたい。アズは少女の本能を抑えきれなくなり、ナイトに飛びつき、抱き上げた。どのみち今日は、一人で眠る気にはなれないところだ。ふかふかの毛並みが擦り切れるまで頬ずりして、そのあと夜通しで、そこらじゅうにキスの雨を降らそう。この子ライオン相手ならば、ファーストキスのカウントには入るまい。
この日を境に、アズの運命が大きく動き出す。多くの意思と二つの世界が絡み合うこの物語において、デュエリスト達の心に眠れるカードだけが、真実を知っていた―――
<第1話・了>
■ あとがき―――あとのわるあがき
前から一度やってみたかった、カードゲームリプレイを核にした作品。構想が生まれたのは実は3年ほど前だったのだが、紆余曲折あってようやく形に。1話の字数、書き始める前は10000程度だろうと予想していたら、なんだかんだで30000近くなり、前後編に分割する形式になってしまった。
デュエルにこぎつけるまでが意外と長く、「ちょっとしたお話を書いて、疲れてきたらゲーム描写に移れて、書いてるほうも適度に楽しい」という予想がいきなり崩れてしまった。1話ということもあって、ゲームの内容そのものはとんでもなくシンプルなものに落ち着いた。なにしろ、遊戯王の三本柱のうち、モンスターと魔法しか登場していない。あれ罠カードは?
<キャラクター的なお話>
主人公アズちゃんだが、今回は「少女」表記が多い。対戦相手が「女学生」表記だが、よく考えたら両方女学生なので、ややこしいことこの上ない。反省。
フルネームは「小鳥遊アズサ」。主人公なので「遊」の字が入り、ヒロインなのでファーストネームは「ア」で始まる。いかにも遊戯王的なネーミング。
そんなことよりまず、アズちゃんごめんなさい。当初はあんなに無茶苦茶に
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