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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(後編)
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 とうとう見かねて、獅子が浮遊の術を解いて着地し、動かなくなった少女を庇うように白き竜の前に立ちはだかった。竜と獅子、文字にすれば猛獣同士の激突だが、現実の両者のあまりの大きさの違いに、滑稽な印象すら受ける。

ナイト
『や、やめろっ! もうこれ以上はデュエルを続けられない!』
ツキ
『なによォ、このケモノ……誰に許可取って人間様の言葉喋ってるワケ!?』
ナイト
『そんなことはどうでもいい! とにかくデュエルを中止しろ!』
ツキ
『バカなこと言うんじゃないわよ似非ライオン! サレンダーするなら、まずあのコが申し込んで、私が承諾しないとダメでしょーがァ! 契約法の基本でしょォ!』
ナイト
『見ればわかるだろ! もう意思表示もできる状態じゃない!』
ツキ
『動けないのね? だぁったらぁ! ここで私がターンエンドして、次のターンそのコが動かずに3分経ったら、自動で私のターンじゃないの! やっりーっ! あと3分で学校いけるよぉ! ばんざーいっ! お母さん私やったよー!』
ナイト
『そ、それはっ!』

ナイト
(確かに、ターンプレイヤーが何もせずに3分が経過すると、ルール上、ターン進行の権利放棄とみなされて、自動的に相手のターンに移るが……壁モンスターのいない今のまま相手のターンに回れば、フルムーンアイズのダイレクトアタックを受けてしまう……3000のライフダメージをもう1度受けたら間違いなく……彼女の命はない!)

ツキ
『さぁて、あっと3分! これでターンエンドよぉ!』

・アズサ(手札5 LP:300)
・ツキノ(手札3 LP:4000)
《DP.06 満月瞳の白竜》ATK:3000・☆10・ORU×1


<ターン5 アズサ>

 少女のディスクが点滅し、ターン開始を告げる。だが、少女はそれを認識できる状態ではなかった。
 獅子が駆け寄り、ぼろ雑巾のように転がった少女の耳元で、声を張り上げる。

ナイト
『しっかりしろ! このままでは……君は本当に……! とにかく守備モンスターでいいから召喚して攻撃を凌ぐんだ!』
ツキ
『ひゃははッ! 何言ってんの!? 守備モンスターはフルムーンアイズの効果で攻撃表示に変わるのよォ? 壁モンスターなんか召喚したって、前のターンとおんなじ! ダメージは避けられないわァ!』
ナイト
『やかましいっ! 頼む、目を覚ましてくれ……そうか……私はまだ君の名前も聞いていない……私も名乗っていない! 一緒に戦ってくれたのに……お互い名前もわからないまま敗れるなんて……! ダメだ!』

 獅子の必死の呼びかけにも、少女は反応を見せない。彼女の意識は、冷酷な現実を離れ、記憶の彼方に旅立っていた。


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