デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(前篇)
[7/17]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
瞬にして、逆巻く白の炎が霧散し、消滅した。その中から、少女が姿を現す。否、それはもはや、先程までの少女とは決定的に違う存在だった。
ツヤのある黒髪は明るい桜色に変わり、ポニーテールの根本、リボンを中核として全体にボリュームアップし、ポニーテールの先端が背中まで伸びている。クセのあった髪質がさらりとしたものへ変わって、ふわりと風に流れるような美麗なシルエットを描いた。
少女の清潔な可愛らしさを引き立てていた制服は、神秘的な装いへと変化していた。学ぶ為にあえて個性を削ぎ落とされていたブレザーは消失し、ブラウスは白の中に朱が入り、裾にはレースの細工が施されて、少女の内に潜む力をひそやかに示すように、微妙に重力に逆らうように立ち上がり、スカートとの間にわずかに肌色が露出する。スカートは赤く縁取られ、そこから伸びる二脚は、先程までは存在していなかった白のオーバーニーソックスによって太腿まで覆われ、黒のブーツが足元を引き締めている。そして、朱のかかった白いマントが、少女の襟元から肩、背中と右半身を包み込んでいる様が特徴的だった。左肩には鎖骨を覆う位置でマントを固定する、輝く宝玉に何らかの紋章と思われる模様が彫り込まれたブローチが、朝日を照り返す。
可憐さを残したまま神秘性を醸す衣の中で、同時にその衣がまぎれもなく戦うための聖衣であることを示す一点。マントによって覆われていない彼女の左腕に、楕円形のホルダーと縦長のプレートからなる、特異な器具が取りつけられている。腕から手甲までを保護するホルダーの中央には、水晶のように透き通った宝玉が埋め込まれ、その横にカードの束が設置されていた。
ふわん―――と吹き抜けた風に、マントが緩やかにはためく。そこで、ようやく少女は自分に起きた変化を認識した。
「のわぁ! な、なんか色々変わってます!」
『これが君のデュエルフォームだ。 君は今、デュエリストとして闘う力を手に入れた。さあ、ぐずぐずしている暇はない。来るぞ!』
「へっ!?」
自身の変化に噴出する困惑に対応する間もなく、手乗り白獅子に促されて眼前の状況を確認し、自分が白き竜の脅威にさらされている最中であることを思い出す。
眼前の竜は、自分の攻撃が無力化されたことに怒り狂い、再び大口を開けて、空中から光を収束する。見る見るうちに、竜の口腔で白き炎が燃え猛る。
「あれって……また火が来ますよ! どうすれば!」
『慌てるな。さっきと同じようにすれば何も問題ない』
「さっきと?」
『私に倣え! そして集中するんだ!』
白き竜から、再び炎の濁流が押し寄せる。白獅子グラナイトは炎の正面に立ち、右腕を炎に向けて伸ばす。抑え込む気なのだ、と少女は直感した。私に倣え、すなわち、少女にもそれができるのだと。少女は駆け、白獅子と並び立つ。この瞬間
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ