デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(前篇)
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新生活が、凄惨な光景からの逃避によって始まってしまった事実は、不幸以外の何ものでもない。
「私は……学校行くのに……ジャマするなぁ!」
そして、件の女学生のこの言葉が彼女の鼓膜を正確に射抜いた、その瞬間。彼女の背後、女学生を中心として、尋常ならざる衝撃が放たれた。背中からの衝撃が、女学生の腕から彼女の手を引きはがす。同時に、彼女は空中で180度回転しながら吹き飛ばされ、アスファルトの地面に背中を強打した。
激痛に身をよじり、呼吸が詰まる。咳き込みながら、彼女は何とか起き上がり、何事かと女学生の方へ眼をやった。
女学生の手に、禍々しい光を放つ、一枚のカードが握られていた。女学生を、いや、その手のカードを中心にして、急激に風の流れが集中し、激化して旋風となす。
「学校に行けないと……いか、ないとぉ……」
憎々しげな響きを増す声に、彼女は思わず身震いする。彼女からは表情が伺い知れぬ首を垂れた姿勢で、女学生の全身が、吹き荒れる風に呼応するようにして痙攣し始めた。
突然、女学生が発作を起こしたかのように天を見上げ、吠え猛った。
『学校行かなきゃ……友達ができない! 友達が……トモダ、チィィィ!』
獣のように叫ぶ女学生の声は、まるで声帯に覆いをかけているかのごとく、くぐもった、恐ろしげなものに変化していた。続いて顔を下ろして正面へ向け、少女をにらみつける女学生。その瞳はもはやこの世のものではなく、血走って赤みを含んでいた。
やおら、女学生はカードを握った右腕を天に掲げる。カードが太陽と見紛うほど発光し、その光に射られた彼女の視界が一瞬白に染まる。光が途切れるとともに、彼女の視界が色を取り戻す。だがそこには、荒唐無稽を絵に描いたがごとき光景が広がっていた。発光の前には、同じ制服に身を包む可憐な女学生2人しかいなかったその場所に、空を覆うほどの巨大な白き竜が、佇んでいたのである。
―――きゅぁおおぉぉ――ぉん―――
絶句する少女を前にして、白き竜は、サテライト全体を揺るがすほどの甲高い雄叫びを轟かせた。
* * *
白鳩市内を張っていた白獅子は、隣市から目的のカードの力を感じ取り、急いで現場に向けて空中を駆けていた。完全に虚を突かれた形であった。あのカードを放置しては、人間に犠牲が出かねない。その警戒心から、人間の多い市街を拠点としていたことが仇となったのだ。
白獅子は、精神を集中して身体を流れる超常の力をさらに高め、飛行速度を上げる。純白のたてがみが風になびいて、雄々しさを強調する。遠くで、かすかに竜の鳴き声が響いたのを感じ取る。かのカードの力の波動が巻き起こした独特の空気の振動が、獅子の鬚を通じて彼に竜の出現を確
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