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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(前篇)
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て無理やり後ずさる。とんっ、と不意にお尻に当たる感触。彼女は一瞬の硬直の後、震えながら背後に目をやる。首元から下、エプロンを鮮血で濡らした中年女性の亡骸が、そこにあった。しかも、半開きになった生気のない瞳と彼女の眼が交差してしまい、とうとう彼女の恐怖が頂点に達した。

「いやあぁ!」

 涙を浮かべながら、四つん這いになってなんとかその場を離れようとする。だが、道の先へ視線を向けた彼女の両眼に、転々と十数人もの人間の身体が無造作に転がっている衝撃的な光景が飛び込んできた。数人の身体には、この世のものとは思えないほど白く透き通った炎が絡み付いて燃焼しており、タンパク質と脂肪の焦げる嫌なにおいが彼女の鼻腔を突く。
 鮮血にまみれ、傷つき、人間ではなく物質に還元されて、炎に焼かれ横たわる人々。その光景は、世界大戦期の資料に残る、「空襲」を思い起こさせる。しかし、所詮知識の中の存在でしかなかった資料のそれと違い、少女の目の前の光景は、まぎれもない、生々しい現実の地獄絵図。

「っ……!」

 喉奥が痙攣し、悲鳴も出てこない。だが同時に、ここで悠長にへたり込んでいて良い場合ではないことを、彼女は認識していた。これほどの残虐な光景を作り出した原因、もはやそれは、人と呼べるものの所業ではないとすら思えるが、加害者がまだ近くにいるとすれば、今まさに、自分の身が危険に晒されていることになる。
 危機感が恐怖をなんとか中和したらしく、砕けた腰に無理やり力を入れ、立ち上がることができた。元来た道へ取って返し、最初に発見したスーツの男の横を駆け抜ける。ともかく自室に戻ってから、警察に通報するなりすれば、一市民としての役割は全うできるはずだと、自分に言い聞かせる。
 と、前方に、自分と同じ制服を着たショートボブカットの女学生の姿が見えた。こちらへとゆっくり歩いてくる。このままではこの女学生も、自分と同じ光景を目にしてしまう。それだけ考えて、あとはガムシャラに行動する。

「あちらへ行ってはいけません! わたしと一緒に!」

 そう叫び、すれ違いざま、彼女は女学生の手を引っ掴むと、無理やり引きずって走り出す。この行動を起こしたことで、一瞬前まで頭にあった自室へ戻るという目的がどこかへ行ってしまい、女学生を引っぱりながら、目的も定めず無我夢中に走る。

「ちょ、ちょっと! なにするの!」

 背後から、引きずられる女学生の抗議の声が響いたが、今の彼女に冷静に説明する余裕はない。答えを返さず自分を引きずり回す彼女に向けて、女学生は苛立った声をあげる。

「なんなのよ! このままじゃ転校初日から遅刻じゃない!」

 女学生のこの言葉が、彼女の耳に入らなかったのは、果たして幸だったか不幸だったか。その問いの答えはともかく、息を切らしてひた走る彼女の
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