四幕 〈妖精〉
4幕
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の頭に手を置いた。フェイは不思議そうにルドガーを見上げた。
「俺はお前のこと全部知ってるわけじゃないし、今も、どこからがお前にとっての〈外〉で〈中〉なのかも分からない。けど、ずっと独りぼっちでいたほうがいいことなんて、人間には一つだってないとは思うよ」
例えば今。行きずりとはいえルドガーにはエルがいる。ジュードがいる。仲間と呼べる人たちがいる。理不尽な借金にも、兄の濡れ衣による陰口も、だから耐え忍べる。
エルやジュードたちがいてこそのルドガーなのだ。その理屈は、この少女にも適用されるはずだ。
「……わたしといたら、ヒドイ目に遭うかもしれないよ。フェイのこと、スキじゃなくても、欲しがる人、いっぱいいるから」
「いいよ。返り討ちにする。今までで大抵の理不尽には慣れた」
背負った負債は元より大きいのだ。フェイ一人増えても変わらない――と感じる程度には、ルドガーの常識も麻痺していた。麻痺しなければやってこられなかった。
「ね、パパ」
「パパはよせって。――何だ?」
「フェイのこと、お話ししてもいい? 面白くないし、つまんないけど。何だか今話しておきたい気がした」
「……いいよ。フェイがそうしたいなら」
ルドガーも隣のブランコに腰かけた。フェイは安堵した笑みを浮かべた。
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