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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第弐話 約束
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「空だって、とべるさ。
ドラゴンだもん」
俺はおどけた様子で、言い放つ。

宮廷魔術師(非常勤)のソフィアと一緒に改良に取り組み、多人数飛行用の呪文として開発したのが「ドラゴラム(飛行試験型)」である。
スカイドラゴン等の飛行型モンスターの生態を参考に、飛行性能を備え、術者の意志を保ったまま変身が出来るように改良されている。

理論的には、同時に100人乗せても大丈夫だが、平和になった世界で過大な軍事力を持つと新たな悲劇につながるだろう。そう思い、4人まで乗せることが出来るように、設定している。
もちろん、消費MPを抑制するためでもある。

今回使用するのは、飛行試験型のため、炎を吐くことができない。
まあ、移動する距離は近距離だし、問題ないだろう。

「アーベル、準備が出来たわよ」
幼なじみの、元気な声が聞こえる。
念のため、テルルが覚えた盗賊の特技で、モンスターから見つかりにくくなる「しのびあし」を使用してもらった。
さらに、セレンは所持品から「せいすい」を取り出すと、パーティ全員に振りまいた。
タンタルが、急に興奮した表情を見せているが、もはや誰も気にしない。


「そうかい。じゃあいくぞ」
俺は、呪文を唱えた。
「ドラゴラム」
俺の姿は、大きな竜の姿になっていた。



「ねえ、どうして裏側にいるの?」
俺は、変身を解くと、テルルから質問を受ける。

「こちらから、進入した方が早い。から?」
俺は、海を渡り終わった段階で、一度変身を解いていた。
ある程度、MP消費を抑えたとはいえ、無駄にはできない。
そして、テルルの「しのびあし」と、セレンの「せいすい」の効果でモンスターとの戦闘を回避しながら、塔の前にたどり着いた。

しかし、俺は目の前にあった門を無視して、再びドラゴラム(飛行試験型)を唱えると、皆を乗せ、塔の裏側に到着した。

この塔に封印されている精霊ルビスの下にたどり着くためには、塔の階段を上り下りするだけでなく、一度、塔から飛び降りる必要がある。
ちなみに、今俺たちがいる場所は、その飛び降りた場所と同じ場所である。
だが、いきなり、十分な探索をせずに、塔から飛び降りることを発想することは、非常に困難である。
早急にルビスを救助したい俺にとっては、その時間を節約するために、裏側に回ったわけだが、

「そうですか?」
セレンは首をかしげて、
「どうして、知っているの?」
テルルは、さらに追及する。

この世界が、俺の知っているゲームの世界に酷似している。
その事実を、今の時点で説明するわけにもいかず。

「ガルナの塔も裏側から進入した方が早かった。
そんなところだ。
違ったら、ゴメン」
俺は、右手を縦にしてあやまる。
「・・・・・
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