彼は一人怨嗟を受ける
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っしゃ、ほな行くで。うちらの怒り、全部ぶつけたろやないか」
「おう! 華雄隊! 出撃準備をしろ! 私たち董卓軍を相手にすることの恐怖、刻み込んでやれ!」
言い切ると兵達から怒号があがる。この言葉を待っていたと言わんばかりに。
「張遼隊! 半数だけ華雄隊の援護を主に戦え! 残り半分は関で待機! 出る奴らはいつも通りうちについてこい!」
本当に頼りになる。ありがとう張遼。
待っていろ張コウ、貴様だけは私が血祭りにあげてやる。
大きな覚悟と怒りを胸に、私達は誇りを守る戦いに身を投じに向かった。
出てくるか。
関が慌ただしい雰囲気に包まれ、怒りの気が溢れているようだった。
「朱里、お前の読み通りか?」
「読み通りです。公孫賛様の軍なら張遼さんの部隊に対応できるでしょう。伝令はすでに出しました」
「俺はどうすればいい?」
「秋斗さんは張コウさんが引いてきた部隊をある程度で切ってください。逆側から星さんの部隊が同じ事をしてくれますから交差し向かいの軍と合流後、秋斗さんは中軍側、星さんは関側の兵に対応をお願いします」
「張遼が華雄の救出に突撃してきたら?」
「そのための星さんと愛紗さんです」
張遼対策も万全というわけか。抜け目がないことで。
俺達の軍での挑発は将にのみ。兵達の怒りを溜めさせるため。ここで出てくるとすれば華雄のみだったろう。
所詮は弱小軍の戯言よと少し冷静さを取り戻したところで事を起こした張本人である袁紹軍からの挑発。
弱くなった火に油をぶち込んだ。再燃した怒りは燃え広がり伝播する。大きさをまざまざと見せつけられ、兵達も抑えきれなくなる。
極めつけは董卓へのあの罵倒。忠義の厚い将は耐えられるものではない。
この小さな軍師は人の心も、戦場がどうなるかも全て予測しているのだろうか。
「さすがは朱里、味方でよかった」
言いながら、先程から小刻みに震えている朱里の頭を撫でる。緊張と恐怖が少しでも和らぐように。
「はわわ! い、戦中に何を……」
「震えてるぞ。子犬みたいで可愛いけどな。お前たちは安心して指示を出してくれ。戦い守るのは……俺たちの仕事だ」
「……は、はい」
「頼りにしている、軍師様。じゃあ行ってくる」
朱里がいってらっしゃいと言うと同時に関の門が開きはじめた。
ここからは殺し合い。俺達クズの仕事場だ。
うまく乗ってくれたみたい。夕の言では張遼も出てくるだろうとのこと。
「相手は賊軍、ただしとびっきりの上モノだ! 気合いれてかかりな!」
さあ、劉備軍と公孫賛軍はうまく合わせてくれるか。
戦端は開かれ、猛り狂った兵たちの声、肉と金属のぶつかる音がそこかしこで聞こえ始める。一応新兵ではないがあまり耐えられるものじゃないだろう。
真っ先
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