暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
聖なる光に祈りを
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

楽園の塔の玉座の間で、2人は対峙する。
1人はウェットな青い髪に顔の右側の赤い紋章が特徴的な男性。
1人は美しい緋色の髪に晒と袴を纏った女性。

「あと7分だ。あと7分でエーテリオンはここに落ちる。この7分間を楽しもう、エルザ」
「今の私に恐れるものはない。たとえエーテリオンが落ちようと、貴様を道連れに出来れば本望」

その言葉が始まりとなったのか、否か。

「行くぞ!」

ジェラールの左手から、怨霊のような魔法が放たれ、それは容赦なくエルザを襲う。
エルザはそれを綺麗に避け、持っていた刀を振るった。

「!」

そのエルザの動きを予想してたかのように、ジェラールは右手をエルザに向ける。
エルザの腹辺りに魔力の衝撃波が直撃し、エルザの体は楽園の塔の外に勢いよく飛び出た。

「っ!」

頭を下に向け落ちかけるエルザは体を回転させ、ガッと自分と一緒に落ちる塔の柱だった瓦礫を強く踏みしめた。
そのまま階段を駆け上がるように瓦礫を踏みしめ、再び玉座の間に戻る。

「せっかく建てた塔を自分の手で壊しては世話がないな」

そう言いながらエルザは刀を振るい、ジェラールは跳躍して避ける。

「柱の1本や2本、ただの飾りに過ぎんよ」

口角を上げそう言うジェラール。

「その飾りを造る為にショウ達は8年もお前を信じていたんだ!!!!」

怒鳴るようにエルザは叫び、ゲームを現していたチェス盤を勢い良く斬る。
その拍子に、女王の駒が宙を舞い、ドラゴンの駒を巻き込んで壁に直撃した。

「いちいち言葉のあげ足をとるなよ。重要なのはRシステム。その為の8年なんだよ」

そう言うと同時に、右手に魔力が集結していく。

「そしてそれは完成したのだ!!!!」

叫び、魔力を一気にエルザに放つ。
怨霊のような魔法はエルザの全身を包み、閉じ込める。

「!」

ジェラールは目を見開き、驚愕した。
少しの間自分の放った魔法に閉じ込められていたエルザだが、右手に持っていた刀が魔法を斬り裂き、それと同時に魔法が完全に斬り開かれる。

「ぐあ!」

それに驚愕している間にエルザは一気にジェラールとの距離を詰め、その腹を斬った。

(これが・・・あのエルザだと!?)

8年の年月は、幼くか弱い少女を強く凛々しい女性へと変えた。
ジェラールはそれを知らない。エルザには、強い決意と覚悟があるという事を。

「くっ」

そしてジェラールが気づいた時には、エルザに馬乗りにされ、首元に刀を向けられていた。

「お前の本当の目的は何だ?」

目に闘志を宿したまま、エルザは問う。
歯を食いしばったまま、ジェラールは答えない。

「本当はRシステムなど完成してはいないのだろ?」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ