聖なる光に祈りを
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
『彼等は』知らない。
そのヤジマから遠く離れた場所でクロノが笑い声を漏らし、その場から姿を消した事を。
笑うクロノの向かう先、この建物の出入り口付近に、キャラメルカラーの髪の少女がいる事を。
雲が晴れる。
そして、晴れた雲が円を描き、そこに魔法陣が展開し始めた。
「オ、オイオイ。本気でエーテリオンを落とす気なのかよ、評議院は!?」
「みゃあ!?」
「マジかよ!?くそっ、ここは面白れぇと素直に言っていいのか!?いあ、でも下手すりゃ等の中の奴等は・・・くっそー!アルカンジュ・イレイザー、19年間生きてきて最大の悩みとブチ当たってんぞコノヤロー!」
楽園の塔から少し離れた小船の中、塔から脱出したウォーリーとミリアーナは驚愕する。
その近くには全身に火傷を負ったグレイ、気を失うルーシィとジュビア、疲れが来たのか眠るルー、妖精の尻尾の人間メンバーで唯一起きているアルカ、目に涙を溜めるハッピーがいた。
「ナツ・・・ティア・・・エルザ・・・早く脱出して・・・」
「Rシステムなど完成するはずがないと解っていた。しかし・・・ゼレフの亡霊は俺を止めさせなかった。もう・・・止まれないんだよ。俺は壊れた機関車なんだ」
玉座の間では、先ほどと同じ体勢のエルザとジェラールがいた。
「エルザ・・・お前の勝ちだ、俺を殺してくれ。その為に来たんだろ?」
そう言うジェラールの顔には、薄い笑みが浮かんでいた。
それを見るエルザの脳裏に、奴隷時代のジェラールの姿が思い浮かぶ。
機械的な音を立てながら、上空には魔法陣が展開されていた。
「私が手を下すまでもない・・・この地鳴り、既に衛星魔法陣が塔の上空に展開されている」
魔法陣が展開すると同時に、塔全体が揺れ始める。
「終わりだ。お前も、私もな」
すっ、と。
エルザは掴んでいたジェラールの手首を離し。
首元に突き付けていた刀を、乾いた音と共に放った。
「不器用な奴だな・・・」
ジェラールが溜息をつき、エルザも溜息をつく。
エルザはジェラールの上から降り、その隣に座る。
「お前もゼレフの被害者だったのだな」
エルザの言葉に、ジェラールは辛く悲しそうに俯く。
「これは自分の弱さに負けた俺の罪さ、理想と現実のあまりの差に、俺の心がついていけなかった」
そのジェラールの言葉に、表情に、エルザは笑みを浮かべる。
「自分の中の弱さや足りないものを埋めてくれるのが、仲間という存在ではないのか?」
「エルザ・・・」
その言葉に、ジェラールは顔を上げる。
「私もお前を救えなかった罪を償おう」
そう言う
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ