聖なる光に祈りを
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「!」
「私とて8年間、何もしてなかった訳ではない。Rシステムについて調べていた。確かに構造や原理は当時の設計図通りで間違っていない。しかし、Rシステムの完成には肝心なものが足りてない」
エルザの言葉にも、ジェラールの笑みは崩れない。
「言ったはずだ・・・生け贄はお前だと・・・」
が、その言葉もエルザには通用しない。
「それ以前の問題さ。足りてないものとは『魔力』」
エルザによって斬られ、倒れたチェス盤に光が反射する。
その付近には城壁の駒と梟の駒、水瓶の駒が転がっていた。
「この大がかりな魔法を発動させるには、27億イデアもの魔力が必要になる。これは大陸中の魔導士を集めてもやっと足りるかどうかというほどの魔力。人間個人ではもちろん、この塔にもそれほどの魔力を蓄積できるハズなどないのだ」
「・・・」
エルザの言葉に、ジェラールはただ沈黙を貫く。
「その上、お前は評議院の攻撃を知っていながら逃げようともしない。お前は何を考えているんだ」
首元に突き付けられた刀は動かない。
ただ、ジェラールの首元に向けられている。
「エーテリオンまであと3分だ・・・」
ジェラールの言葉に、エルザは怒鳴る。
「ジェラール!!!お前の理想はとっくに終わっているんだ!!!!このまま死ぬのがお前の望みかァ!!!!」
「うっ・・・く・・・」
ギシ、と。
エルザが掴むジェラールの手首が、より強く握られる。
「ならば共にいくのみだ!!!!私はこの手を最後の瞬間まで放さんぞ!!!!」
エルザの怒鳴り声が静寂と沈黙の玉座の間に響き渡る。
ゆっくりと、ジェラールは口を開いた。
「あ・・・ああ・・・それも悪くない・・・」
その言葉に、エルザは刀は下げずに口を閉じる。
「俺の体はゼレフの亡霊にとり憑かれた。何も言う事を聞かない・・・ゼレフの肉体を取り戻す為に人形なんだ」
「とり憑かれた?」
「俺は俺を救えなかった・・・仲間も誰も、俺を救える者はいなかった。楽園など・・・自由など、どこにもなかったんだよ」
ジェラールの言葉に、エルザは目を見開いた。
「全ては始まる前に終わっていたんだ」
「エーテリオン射出最終フェイズ完了。衛星魔法陣展開!!!」
凄まじい魔力が形を成し、球体を描いていく。
「祈りを」
「祈りを」
「祈りを」
これから失われるであろう命を弔うように黙祷する評議員たち。
「祈りを・・・」
その中で、ジークレインも呟いた。
―――――彼は知らない。
その後ろで、ヤジマが自分の事を睨んでいる事を。
「・・・ククッ」
―――――彼は、否、
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