『第四話』
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う少し早く来ればよかったな)
そう思いながら帽子を取り、一度前髪をかき上げ、元に戻す
そのときに高町父は俺に―――
「君は………死神なのか……?」
―――と尋ねた
士郎side
あれから……死神と名乗る少年に助けられて3ヶ月が経った
あの翌日、医師たちは私の状態をみてとても驚いていた
医師が言うには生きているのがおかしいような怪我で、いくら経っても怪我はまったく治らずずっと同じ状態だったらしい
それが昨日まで変わらなかったのにも関わらず、翌日にはほとんどが治っていたのだ。これは誰だって驚くだろう
このとき私は昨夜の出来事は真実だったのかと思った
あの時見た時刻からして医師か看護士以外に来ることは普通ない。彼はあの時窓から出ていったので来る時も窓から入ったのだろうと結論付けた
その日のうちに私は一般病棟に移り家族とも再会した
皆泣いていたのは三カ月経った今でもハッキリと覚えている
その時私はもう二度と家族を悲しませないと誓い心に刻んだ
退院してからは今までの仕事を辞め、家の喫茶店をやっている
料理とデザートは桃子がするから私に出来ることはコーヒーや紅茶を淹れる事くらいだが、気に入ってくれる人が多くいるので大丈夫だろう
そんなある日、美由紀にカウンターに客が入ったと聞きカウンターに向かうと
黒い帽子を深く被った男の子がいた
ドクン
心臓が強く鳴った気がした
(似ている……)
そう、似ているのだ。顔はよくわからないが、雰囲気が良く似ていた
だが雰囲気だけだ。それ以外は確かめないとわからない
「やぁ、いらっしゃい。注文は決まったかな?」
現在出来る限り自然な笑顔で話しかける
「すみません、まだです」
―――あの子が泣いていたから―――
ドクン
再び心臓が強く鳴った気がした
声も似ていたのだ
「いや、いいんだよ。じっくり考えてくれて」
この時にそう答えた自分はいままでで一番の演技力を出したのではないかと思う
雰囲気や声だけ似ている事もあるかもしれない
まだこの男の子が死神だと決まったわけじゃない
彼が最初振り返った時に見えた漆黒に染まった瞳
黒ではなく漆黒、黒眼はそこらじゅうにいるが漆黒の眼をしている人はそうそういない、それが解れば……
その時、男の子が帽子を取り、髪をかきあげた時に
―――漆黒の瞳
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