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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
ネペント狩り
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づいて「実」を割り、破裂させたのだ。
この一時間、ともに戦ってきた戦友は、俺を見ないでもう一度言った。
「………ごめん」
そのアバターの向こうに、幾つものカラーカーソルが出現するのを俺は見た。右にも。左にも。そして後ろにも。「実」が破裂したときに出た煙に引き寄せられてきたリトルネペント達だ。このエリアにPOPしていた個体が、残らず集まろうとしているに違いない。総数は二十………いや三十を軽く超える。
無理だ、と判断した瞬間に足が勝手に逃走を始めそうになる
が、それこそ無理だ。たとえ囲みを破れても、ネペントの最高移動速度は外見から想像されるよりも遥かに速く、引き離す前に他のモンスターにターゲットされてしまう。もはや離脱は不可能──。
つまり、これは、自殺?
俺を道連れに、死のうというのか?コペルは《現実の死》の恐怖に押し潰され、デスゲームから降りることにしたのか?
立ち尽くしたまま、俺はぼんやりとそう考えた。
しかしその推測は誤っていた。
もう俺に眼を向けることなく剣を左腰の鞘に戻したコペルは、振り向くと、近くの藪へと走り始めた。その足取りに迷いはない。彼はまだ生きることを諦めていない。しかし。
「無駄だよ………」
俺は喉から声ならぬ声を押し出した。
リトルネペントの大群は、全方位から殺到してきている。隙間をすり抜けるのも剣で切り開くのも困難だし、仮にできたとしても行く先で他の敵に足止めされる。いや、それ以前に、今更逃げようとするくらいなら、なぜコペルは《バーチカル》で「実」を斬ったのか。
死ぬつもりなのが、モンスターの大集団に怖じ気づき、最後の悪あがきを試みようというのか。
半ば以上痺れ上がった意識の片隅で、俺はそんなことを考えつつ、小さな茂みに飛び込んでいくコペルの背中を追った。密生した葉に遮られ、アバターは見えなくなったが、カラーカーソルは表示されたまま───
ではなかった。距離は二十メートルと離れていないはずなのに、俺の視界から、コペルのカーソルが消失した。
《転移結晶》で緊急脱出したのか、と一瞬思ったがそんなはずはない。あのアイテムは恐ろしく高価で、こんな序盤で買えるはずがないし、そもそも第一層には売っている店もドロップするモンスターも存在しない。
であるなら、答えは一つだ。《隠蔽》スキルの特殊効果。プレイヤーの視界からはカーソルを消し、モンスターからはターゲットされなくなる。
殺到するモンスター群が足許を地震のように揺らすのを感じながら、俺はそこまで考え、そしてようやく──あまりにも遅まきながら気づいた。
コペルは、自殺を試みたものの怖じ気づいて逃げたのではない。
俺を殺そうとしたのだ。
敢えて「実」を割り、周囲からネ
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