暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
ネペント狩り
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りの街】を後にした時点で《
索敵
(
サーチング
)
》を取った。
理由は狩りの効率上昇。とにかく今日中に可能な限りのレベルアップをしないといけない。《
索敵
(
サーチング
)
》は敵の居場所、すなわちプレイヤーの居場所さえも分かるため、不意打ちにも強い。
以上の理由から、レンはまず索敵を取り、その後、
隠蔽
(
ハイディング
)
を取ることにした。
そんなことを考えつつ走っていたレンの耳が
パアァァン!
という凄まじいボリュームの破裂音に震えた。
それとほぼ同時に視界左に、小さくカラーカーソルが表示される。数は二つ、色は───緑。プレイヤーだ。
索敵スキルによって反応距離が増加しているので、まだ肉眼での視認はできない。
「な、何?今の音、どこから?」
レンと違って、
隠蔽
(
ハイディング
)
を取ったユウキは、みだ何が起きたか、解っていないようだ。
確かにレンにも破裂音の正体は解らないが、今は動くしかない。
レンがそこまで急ぐには訳があった。それは、その二人のプレイヤーの周囲に立て続けに幾つものカラーカーソルが浮かび上がったからだ。
その色は赤。凄まじい数のモンスターが二人のプレイヤーを囲んでいる。
ようやくユウキの反応圏内に入り、事態を確認したのか、ユウキが顔を強張らせる。
「れ、レン!」
「うん。分かってる。いくらなんでも目の前でなんて寝覚めが悪すぎる!!」
そう言って、レンは足にいっそう力を入れて、加速した。
パアァァン!
と、凄まじいボリュームの破裂音が森を揺らした。
この音を聞くのは二回目だった。一回目は、もちろん
β
(
ベータ
)
テスト期間だ。あの時は、臨時パーティーの仲間がうっかり
長槍
(
スピア
)
で突いてしまい、匂いに引き寄せられてきた『リトルネペント』の大群にによってレベル2〜3の四人が離脱もままならずに死んだ。
《リトルネペント》、リトルとつくが、身の丈一メートル半の自走捕食植物である。
ウツボカズラ
(
ネペンテス
)
を思わせる胴体の下部で、移動用の根が無数にうごめいている。左右には鋭い葉を備えたツルがうねり、頭にあたる部分では捕食用の《口》が粘液を垂らしながらパクパク開閉する。
実を粉砕した、俺と一時間、ともに戦ってきた元
β
(
ベータ
)
テスター、コペルの片手直剣単発垂直斬り《バーチカル》は、『リトルネペント』の「実」、そして捕食器をも断ち切り、HPゲージを削り切った。モンスターはあっけなく爆砕したが、後には薄緑色の煙と、異様な臭気は残っている。
煙を避けて大きく飛び退いたコペルに向かって、俺は呆然と言葉を投げかけた。
「な…………なんで…………………」
事故ではない。意図的な攻撃だ。コペルは自分の意志に基
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