青い春
壱 或る少年
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な風に、お節介を言って、自分に関わってくる。自分自身より自分を気にかけてるのではないか、と思うほどだ、さっきの美里先生にしても、この渚薫にしても。
でも真司としては、特に薫には感謝したいくらいだった。根暗な自分は、薫がいちいち話しかけてくれなかったら学校に来てもたった一人で途方に暮れていただろう。今よりもっと、学校に来なかったかもしれない。
「今日はクラブハウスに来るかい?」
「うん。行くよ。そのつもりで来た」
薫の目尻が更に下がった。嬉しいらしい。
「来るのは久しぶりだね。真司君の演奏をどれだけ待ちわびた事か。一日千秋の思いだったよ。」
「よせやい。趣味でしてただけだよ、僕は下手だよ」
薫はこんなオーバーな事を臆面も無く平気で面と向かって言ってくる。少し照れ臭いが、しかし、煮え切らない物言いばかりするような自分に比べればずっと良いのかもしれないな。
薫の笑顔から目を反らせながら、真司はそう思った。
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第三新東京市。
首都機能分立計画の一環で、埼玉県秩父に建設が進む都市で、真司の住む街だ。
コンセプトは「学術都市」。様々な研究施設、機関をこの第三新東京市に移転し、この第三新東京市を「日本の知」が具現化される場所とする予定である。
ソーラーパネルが壁面に設置され、夕日に輝くその姿が何か結晶のような印象を受ける高層ビルがいくつも立ち並ぶ様は壮観で、その景色は高台にある国立ネルフ学園の部活動用のクラブハウスからよく見えた。
何度も見てきたはずのその景色を、「相変わらず、綺麗だよなぁ」と思って見やりながら、真司はチェロを弾く。何度も何度も弾いてきた曲だ。何かの為に練習したわけでは無い。やってるうちにそこそこ弾けるようになっていた。
弾き終わり、自分の視線を窓の外から部屋の中に移すと、音楽部の部員達が、うっとりとした顔を真司に向けていた。適当に真司は弾いていただけなのに、いつからか静かだなぁと思っていたら、他の音楽部員がほぼ全員真司の演奏に聞き惚れていた。ぎくっとして、真司はどうにも決まりが悪い感じがした。
「やっぱり、チェロは真司君のに限るねぇ。」
薫がピアノの影から顔を覗かせ、微笑みをたたえた顔で−美少年だからニヤついていても全て微笑みに見えるのだが−真司に視線をやる。
「やっぱすごいわよねー」
「碇さん、かっこいー!」
中等部から高等部の2年まで音楽部員は居るが、その殆どが女。薫ほど抜群に整ってるわけではないが、それでも真司は容姿的には、中性的で美しい方ではある。薫はほぼ毎日クラブハウスに来ているのに対して、真司は来るのが珍しい分だけ、希少価値があるのだろうか。真司に注がれる視線も心なしか熱いものがある。
参ったな。恥ずか
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