第四十八話 文化祭の準備その九
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「照明で照らしたらどうかな」
「ああ、そうするんだ」
「それだとあれじゃない、暗くても見えるし」
「それに迫力も出るね」
クラス委員はここでこのことに気付いた。
「そうなるね」
「ええ、だからね」
「それがいいかな」
「そう思うけれど」
こう話す琴乃だった。
「どうかしら」
「そうだね、それじゃあね」
クラス委員は琴乃の言葉に頷いた、そして言うのだった。
「暗くしよう、今よりもね」
「ええ、じゃあ絵の具出してね」
「塗ろう、早速」
「土蜘蛛はそうして」
琴乃は絵の具を出しながら言った。
「他は」
「どう?これで」
「どんな感じ?」
右手を見るとだった、そこでは。
幽霊と雪女、どっちも女の子達がメイクをして服を着ていた。どちらも白い着物だ。
その姿でだ、お互いに話すのだった。
「怖い?」
「出て来たらびっくりする?」
「いいんじゃない?それで」
「そっちもね」
幽霊の娘も雪女の娘もそれぞれ言葉を返す。
「急に出て来たら怖いわよ」
「びっくりするわ」
見ればどっちも蒼白の顔にメイクしている、雪女の娘は白いぼさぼさの雪女の髪を模したウィッグを被り幽霊の娘の頭には三角のあの布がある。
「じゃあこれでね」
「いいわね」
二人で話していた、そしてだった。
二人はその足で琴乃のところに来てこう言ったのだった。
「はい、琴乃ちゃんもね」
「メイクする?」
「あれっ、私もメイクするの」
「そう、化け猫にね」
「なってみる?」
「ううん、そうね」
その話を受けてだ、琴乃は考える顔になって応えた。
「それじゃあ」
「思い切り怖くなるからね」
「凄いメイクになるから」
「ううん、そうなるのね」
「ええ、うちには演劇部の娘がいるから」
「その娘がしてくれるからね」
そのメイクをというのだ。
「だから琴乃ちゃんもね」
「出てね」
化け猫としてだ、そうしてくれというのだ。
こうして琴乃はあれよこれよという間に化け猫にもなった、そして。
自分の姿をクラスメイト達に手鏡で見せてもらって思わず後ずさりして言った言葉は。
「凄いわね」
「でしょ?このメイク」
「凄いでしょ」
「猫耳はあるけれど」
しかも尻尾もだ、これだけなら可愛い。
しかし耳は口まで裂け目は吊り上がっている、猫というよりは口裂け女か吸血鬼を思わせる迫力である。
その顔を見てだ、琴乃は言うのだ。
「思わずびびったわ」
「そう、このメイクならね」
「充分いけるわね」
「こんなのが暗がりにぬっと出て来たら」
それこそ、というのだ。今の自分の顔だが。
「びっくりするわ」
「そうでしょ、後は色々作ってね」
「凄いお化け屋敷にしましょう」
「これはいけるわ」
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