第二章 非平凡な非日常
51、その差は何が産み出すのか
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呼吸を繰り返している要は返答する余裕すらなかった。
たった一撃だった。
たったそれだけなのに、ここまでのダメージを受けてしまっていた。
力の差は歴然だった。
「ち……くしょ……ッッ。舐めんじゃねぇぞ駄神がッ」
「その駄神にやられてんのはどこのどいつだ?」
そういう銀の目は笑っている。
無表情の中の笑み。
そこには一種の恐怖があった。
「っち。クソ神が」
「だからお前はそのクソ神にやられてんだよっ」
鎌が思いきり降りきられる。
そこから生じた衝撃波が要に襲いかかる。
しかし、彼女の口元は笑っていた。
「だからさぁ、舐めんなって言ってんだろ?」
「何?」
地面を蹴って飛び上がり、衝撃波を避けた。
その高さは、銀が予想していたものよりも遥かに高かった。
人並みより少し高いだけの身体能力を与えられただけの元運動音痴が成せるはずのない高さ。
「はっ。それだけでいい気になるなよな!」
五発。
空中にいる要に向かってさらに衝撃波が打ち込まれた。
足場のない彼女には避ける術はない。
そう思っていた。
「いい気になんかなってねぇよ」
しかし、要はすべて短刀で薙ぎ払ってしまった。
そのまま獲物をまっすぐに構え、標的に向かって落下する。
殆ど瞬間的だったその攻撃を間一髪でかわした銀だったが、頬が少し切れて血が流れているのを要は見逃さなかった。
「オレは学ランでお前は頬。オレの方が一枚上手だったか?」
渾身のドヤ顔を決めた要。
なぜ彼女がここまで強いのか。
その理由は至極簡単で単純で簡潔だった。
誰かを守る力を。
要が望んでいるのはそれだけだ。
そう望み続けることが日頃のトレーニングに繋がり、銀の予想を遥かに越えることとなったのだ。
そして当の本人である銀は、肩を震わせていた。
それが泣いているのではなく、笑っているのだと気付いたとき、要の背中を悪寒が走った。
銀は、声もなく笑っていたのだ。
「あーあ。嬉しい誤算だな。やっぱり消すのが惜しくなってくるぜ」
「何を言って……ッ!?」
思わず言葉が紡げなくなってしまう。
銀から放たれた、夥しい量の殺気。
それは誰よりも多く、誰よりも重く、誰よりも鋭いもの。
恐怖。
それだけだった。
その場にいるのに意識を保っていられると言うだけでも、褒められたものだ。
「なぁ、やっぱり本気でいくわ」
静かにその目が開かれる。
切れ長のつり目で美形な彼は、まさしく雲雀と瓜二つであり、
「あ、兄貴……?」
要の兄と瓜二つであった。
しかし彼はかつて昔行方不
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