運命
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・・・」
小さい笑い声が、大きく響く。
「その余裕・・・やはりハッタリだったか」
静寂の中に、エルザの怒りの滲んだ声が響く。
ぐっ、と。エルザは持っていた刀を強く握りしめた。
「いや・・・エーテリオンは落ちるよ」
ばさ、と。
ジェラールがずっと被っていたフードを外す。
それと同時に、エルザが刀を構えた。
「それを聞いて安心した!10分!貴様をここで足止めしておけば、全ての決着がつく!」
エルザの言葉に、ジェラールは嘲り笑うように言葉を返した。
「いや・・・お前はゼレフの生け贄となり死んでいく。もう決まっている。それが運命だ」
「貴様等・・・仲間を・・・エルザを助けないというのか・・・」
シモンの言葉に、変わらない氷の如く冷え冷えとした声でティアは呟く。
「助ける助けない以前の問題ね。私はエルザがどうなろうと興味ないし、関係もない。アイツが誰を倒そうが他人事だし」
「エルザの敵はエルザが決着をつければいい。俺達が口を挿む問題じゃねぇな」
ティアに続いてナツもエルザを助ける事を拒否する。
が、シモンはそんな事では引き下がらない。
「エルザではジェラールに勝てない!!!!」
「アイツをバカにすんなよコノヤロウ!!!!」
「違う!力や魔力の話じゃねぇんだよ!!!!」
そう怒鳴りながら、シモンはナツのマフラーを掴む。
先ほどの梟と再戦しようとするナツを止める時とは違う、エルザを助けてほしいという気持ちでいっぱいの力で。
「エルザは・・・アイツは未だにジェラールを救おうとしてるんだ!!!!」
そう怒鳴るシモンの脳裏に、奴隷時代の光景が蘇える。
ジェラールの話を一心に聞き、笑顔を浮かべるエルザの姿が・・・。
「俺には解る!!!」
そんなエルザの事がずっと好きだったから・・・エルザをずっと見てきたから・・・。
ナツやティアの知らない『ジェラールと過ごしていたエルザ』を知っているシモンは理解していた。
「アイツにジェラールを憎む事など出来ないから!!!!」
必死の表情で怒鳴り語るシモンに、ナツとティアは言葉を失う。
ぱし、とシモンはナツのマフラーから手を離した。
「ジェラールは狡猾な男だ。エルザのそういう感情をも利用してくる」
楽園の塔の外では、既に夕日が沈みかけていた。
小窓から、オレンジ色の光が零れる。
「状況はさらに悪い。評議院がここにエーテリオンを落とそうとしているのは知っているな。もちろんそんなものを落とされたら塔の中の人間は全滅だ。ショウの話ではあと15分・・・いや、もうあと10分か」
「何!?」
「は!?」
エーテリオン射出のタイムリミッ
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