前編『この世は理不尽だ……』
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真無部 美能留。
中央帝国学園中学の3年D組に通う男子中学生。
あまり目立たない奴だったーーーーーーーーー。
背が低くて眼鏡をかけていて、生真面目で成績優秀。
典型的な『いじめられっこ』の風貌をしている。
事実、美能留はいじめられている。それも毎日。
いじめっ子は、学園中の評判になっている程の不良3人組だった。(もちろん悪い評判)
イジメの理由は単純。
ただ……
気に食わないから。
それだけで、不良3人組は美能留をイジメの標的にした。
靴箱に燃えないゴミを入れたり、中庭を歩いている美能留にバケツの水をぶっかけたり、カツアゲしたり、美能留をサンドバックにしたりと、イジメの仕方は様々だ。
美能留はその度に思う。自分に何か恨みがあるのか。自分は何か悪いことをしたのか。いや、何もしていない。では、なぜ彼らはいじめをするのだろう?だが、考えれば考える程に馬鹿馬鹿しく思えてくるのだ。
そして、最終的に行き着くところが……
(この世は理不尽だ……)
この世は理不尽だ。努力をしても容赦無く打ち砕かれる。努力した者が報われるなんて事は、間違っても無い。
この世は不公平で、理不尽で、理にかなっていない事だらけだ。
だから、美能留にはイジメが原因で自殺した人の気持ちが、少しだけ分かる。
でもそれでも美能留は生きていく。
美能留は思う。
(死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ…死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ……死んだら敗けだ………死んだら敗けだ…………死んだら敗けだ……………死んだら敗けだ…………………死んだら敗けだ……………………死んだら………………)
(”敗けだ”!)
美能留は、死んだら敗けだと自分に言い聞かせてきた。
だから、絶対に死なない。ここで死んだら敗けなのだから。
生きることは辛い……。
でも、死んだら……敗けだ。
逃げたら……敗けだ。
***
ある日、美能留は学食で声をかけられた。不良3人組の内の赤髪の奴だ。彼らは名前で覚えるに値しない。
「よォ美能留……今日はさァ……うーんとォ……」
と赤髪が足りない脳味噌で低俗な思考を始めた。
美能留には、彼らが猿にしか見えない。
神に与えられた『知能』や『言語』を無駄に使っている。
赤髪が口を開いた。
「そォだなァ!今日こそはアレをやろォかァ!」
と思いついた様に言った。
「えっとォ……もう俺らはオメェに飽きちまったからァ
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