第一話 俺と黒髪ポニーテール
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足の筋肉に溜めた力が瞬時に爆発し、俺の体は槍の下を紙一重ですり抜けそのままおっさんに向かって直進する。いきなりのことに動揺しているおっさんの顔は傑作だ。よく考えれば分かったんじゃねぇか?確かに相手は堕天使で人間じゃない、だけどそれがどうした?俺は今までどんなトレーニングをしてきた?普通なら死んでもおかしくない量のトレーニングを毎日欠かさずやってきて、ボクシングをやってる奴にさえ俺は喧嘩で負けたことがねぇ。相手の攻撃を見切るのは路地裏の喧嘩と野球で十二分に経験済みだっつーの!
「なっ、にっ!?」
「おせぇよっ、おっさんっ!」
真下から振り抜いた拳が鈍い音を響かせ、俺にも衝撃が来る。この衝撃は何度も体験してる、顎に一撃を叩き込んだ時の心地いい衝撃だ。宙を浮いたおっさんの体が地に落ちる音が耳に届き大きく息を吐いた。ったく……息が詰まるな……。気絶したか?だったら楽でいいんだが……。
「はぁっ……はぁっ……」
「……」
起きない、よな……?
「……驚いたな、凄まじい腕力だ」
「――っ!?」
「咄嗟に結界を張らねば、さすがに私も危うかったな。しかし素手で結界を破るとは思わなかったが……」
効かなかったのかよ……?完璧に入ったはずだぜ……。クリーンヒットしたのに目の前の堕天使には俺の拳が通用しないってのかよっ……!目の前でゆっくりと起き上がる堕天使を見て、俺の脚は自然と震えだしていた。いや、そりゃねぇだろ……笑えねぇにも限度があんだろ……。
「さて、今度は外さん。貴様の身体能力でもこの数をしのぐの厳しいだろう?」
宙に十数本の光の槍が浮かび、その全てが俺を貫くために向けられている。こ、この数は、いくらなんでも無理だわ……。俺は超人じゃねぇんだぞ……。終わった、絶対に一本は確実に当たる、間違いなく当たっちまう。数は少なくても千本ノックより何倍もハードじゃねぇか……。
「さらばだ、今度こそな」
一斉にそれら全てが飛翔し、俺に襲いかかる。あぁ、俺の人生もここまでか……充実してない訳でも、充実してた訳でもないつまらねぇ16年だったな……。目を瞑り、せめてパッと死ねるよう体の力を抜いて槍を待つ俺。
……あれ?槍が、来ない?何でだ?結構、待ってるぞ?体に刺さるであろう槍の感触はいつまで経っても訪れない。まさか奇跡でも起こって全部外れたか……?いまいちハッキリしないのも嫌だったから、一か八か俺は目を開けた、そこには――
「はっ……?」
目の前の光景に、俺は絶句した。おいおい……マジかよ?何だよ、これ?俺の前には、奇妙な黄色い模様が大量に張り巡らされたバリアみたいなもんと堕天使と対峙する――今朝の、あの人だった。
「ほう……まさか仲間がいたとはな」
「あらあら、ウフフ。
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