第一話 俺と黒髪ポニーテール
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毎日走り込み200本やってねぇし50m5秒5舐めんなよ!後ろを振り返れば案の定おっさんは追いかけて来ない。よし、逃げ切れたか――
「逃げ切れた、とでも思ったか?『はぐれ』」
「っ……?何だよ、それ……」
冗談だろ……目の前に降りてきたおっさんの背中には、黒く羽ばたく物――翼があった。自由に動くそれは明らかに本物だ。ははっ……混乱して訳わかんねぇ……。
「おっさん、なにもんだ……?人間、じゃねぇよな……」
「我が名はドーナシーク――堕天使だ」
堕天使だぁ……?中二病もそこまで来ると呆れてくるな――とは笑い飛ばせない。何せ俺の目の前には黒い羽根生やしたおっさんが立ってんだからな……。たくっ、どこで道を間違えたら堕天使なんぞと追いかけっこしなきゃいけねぇんだ?くそ、訳わかんねぇよ。
「その堕天使が、俺に何の用だ?俺はただの高校生で、普通の人間だぞ」
「人間、か……くくっ、確かにそうだろうな。貴様はまだ気づいていない、ゆえに私は今この場で貴様を殺すのだ」
「殺すって――うぉっ!?」
放たれた閃光が視界に入った瞬間、俺は横っ跳びに跳ねていた。黄色く光る槍のようなそれは俺がいた場所にクレーターをぶち開けている。マジかよ……冗談じゃねぇ、本当に堕天使って訳か。こんなのどうしろってんだよ……?
「ほう、今のを避けるか。なかなかの身体能力を持っている」
「クソが……本当に訳わかんねぇ。大体なんだって俺がテメェに殺されなきゃならねぇんだよ?俺は何も――」
「――貴様が悪魔だからだ」
……はっ?なん、つった?俺が、悪魔?
「貴様ら悪魔は、我々堕天使に殺される定めにある。恨むなら悪魔に転生させた主を恨むんだな。余計なお喋りをしすぎた。そろそろ殺してやろう。せめて己が悪魔だと気づく前に殺そうと思ったが……残念だったな、貴様は下等な存在として死ぬがいい」
おっさんの手に、さっきの光の槍が現れる。クレーターが開くくらいだ、人間の――いや、悪魔か。しかもかなり下の悪魔らしい俺があんなの食らって生きていられる訳がない。こんな所で、こんな訳の分からない死に方すんのかよ……?まだ何もしてねぇぞ、姉貴にも穂乃実にも俺は迷惑かけてばっかで、家族に何の恩返しもできてねぇのに俺はこんなくだらねぇ所で死ぬのかよ――?
「ふざけんな……」
冗談じゃねぇってんだよ……しかもよく考えてみりゃ、俺を殺そうとしてんのは自分を堕天使とかほざいてる中二じじいじゃねぇか……。そんな頭の悪い野郎に殺されるだと……?認めねぇ……絶対に認めねぇぞっ……!
「死ね、はぐれ悪魔」
二度目の閃光が放たれ、寸分違わず俺に迫り来る光の槍を見て俺は――牙を剥いた。
「――っざけんなカラス野郎っ!!」
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