第一話 俺と黒髪ポニーテール
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「ウフフ……」
「っ……?」
笑って見せた。とてつもなく、妖艶に。つい見惚れてしまい顔が熱くなるのを感じて、俺は即行全力ダッシュで走り出した。何なんだよあの人っ!?何で俺が逃げてんだっ!?意味わかんねぇ!?ちくしょおぉぉぉ!学校に着いてからも、授業中あの人の笑顔が頭から離れなくて集中できねぇし!あっ!?何でいつの間にノートにあの人の顔描いてんだ!?妙に上手く掛けてるのが自分でも頭に来る!いっそ俺を殺してくれぇぇぇっ!!
―☆★☆★☆―
結局部活もサボっちまった……。今の時間に帰ると絶対姉貴にしばかれるだろうし……気晴らしにゲーセン行くか?……財布家に忘れた。朝から調子悪いじゃねぇかよ……。それもこれもあの人の笑顔のせいだ……ずっと頭から離れやしねぇ……どうすっかなぁ……。
気づいたら公園にいて、すっかり空は赤くなっていた。おいおい、どこまで歩いてきたんだ?どこだよここ?来たことも見たこともねぇぞ。ため息吐きながらベンチに座り、俺は広場の真ん中にある噴水をぼんやり眺める。くそ、めんどくせぇ――
「――数奇なものだ、こんな場所で貴様のような『はぐれ』に出会うとは……」
「……あぁ?誰だおっさん」
こいつ……いつ出てきた?俺はずっと噴水を見てた、何で俺に気づかれずに噴水の淵に立てる……ありえねぇだろ……。英国で使われてそうな鍔が一周している帽子を被り直しておっさんは俺をじろじろと見ている。気色悪いおっさんだな……。それより今の、『はぐれ』とか言ったか?何のことだ?中二病か?
「悪いんだけどよ、俺は今機嫌が悪いんだ。中二ごっこなら余所でやってくれ」
「周囲に仲間の気配も無し、魔力を集める素振りもない。『はぐれ』で間違いないか。ならば問題はあるまい」
……っ。いい度胸してんじゃねぇか?ちったぁ人の話を――
「――聞きやがれってんだよっ!!」
手短に落ちていた石を思いっきりぶん投げ、おっさんの顔面を狙う。この距離なら避けられねぇ!くたばれ中二じじい!石は狙い違わず顔面に飛んでいき直撃――
「おっと」
「はっ……!?」
しなかった。僅かに首を曲げて、避けやがった……。嘘だろ……?タイミングはジャスト、しかもこの近距離で避けられただと……?何だよ、このおっさん、本当に人間か……?俺の驚きを余所におっさんは顎に手を当てて何かを考えるような仕草を見せる。
「見事な不意打ちだ。声がなかったら私もさすがに当たっていただろうな」
ふざけんじゃねぇ……普通は声が聞こえても避けれねぇんだよ!ちっ、まともに相手なんかしてられっか!逃げるが勝ちだろ!ベンチから瞬時に飛び退き、鞄を担いで本日二度目の全力ダッシュを敢行、俺は全速力で駆け抜ける!正直足には自信があるし逃げ切れる!伊達に
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