第一話 俺と黒髪ポニーテール
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なのかは追々説明するとして穂乃実が来たってことは、おっとヤべぇっ!時間がすげぇことになってるじゃねぇか!
「サンキュー穂乃実!助かったぜ!」
「礼には及ばない……ぶいっ」
及ばないとか言いながらも右手でVサインを作って見せる辺りまだ子供らしいな。いや、まず子供は礼には及ばないなんて言わねぇな。即行で着替えて部屋を出て、階段を降りていく。一階のリビングから朝飯の匂いがほのかに漂ってきていた。
「姉貴、俺の飯は!?」
「やっと起きてきやがったな、寝ぼすけ?そこに置いてあるからさっさと食って学校行きやがれ。遅刻なんかすんじゃねぇぞ」
「分かってる!」
乱暴な喋り方に女らしくない態度、これが俺の姉――高上 穂希だ。頭脳はクソだが家事全てと身体能力は俺を遥かに凌駕している。元々プロのバスケット選手でたまに一緒にやるけど勝てる気がまるでしねぇ。チートな姉貴だ。
「ごっそさん!」
「制服なら庭に干してあるからな」
庭に突っ込んで制服の学ランの袖を肘上辺りまで捲りそれを羽織って準備完了!鞄を持って玄関に行き、出かける時の決まり文句を叫ぶ。
「――行ってきます!」
「おう」
「行ってらっしゃーい」
普通に返してくれる辺り思ったよりまだマシなんだよな、こいつら。姉貴はスペック、穂乃実は変人なのを除けば。鞄を持って玄関を飛び出して、学校へ向かう途中、俺と違う制服を着た連中とすれ違った。確か、駒王学園だったか?俺の家の近くには二つ高校があって、駒王学園はごく最近共学になって男女比が3対7で圧倒的に女子が多いらしい。そんな所死んでも行きたくねぇ。俺は家族以外の女が苦手で、見るだけで反射的に睨みつけてしまう。これのせいで、同じクラスの女子が何を勘違いしたのか俺の家に謝りに来たことがあった。意味わかんねぇ。
だから俺は真逆の方向にある鬼蔵学園に通っている。『鬼蔵』ってのは高校の裏にある『鬼ノ蔵』から名付けられたとか噂があるが、本当かどうかはこの学園にいる誰も彼もが半信半疑だ。俺も信じてるって訳じゃないが信じない訳でもねぇ。いや、そもそもどうでもいいだろ!俺は今急いでんだ!
――その時、フワリと。視界に何か入ってきた。黒くて、長くて綺麗な髪。女の髪とは分かっていたけど今だけは振り向いてしまった。背が高く髪を頭の上で結んでいるその女も俺を見ていて、見ただけで分かる美女だった。ん?高校生だから美少女か。雰囲気で咄嗟に出てきたのが大和撫子だったからそう思っちまったな。着ている制服はすれ違った連中と同じ意匠、駒王学園の生徒か。いやそれより――怖くないのか?俺が。普通の女子なら即行で逃げ出すくらい俺は目つきが悪いはずなんだが……。そんな俺の考えをぶち壊すように、その人は、
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