歌い手、強制収用される
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ドラであろうと、“箱庭の貴族”であろうと、この私であろうと・・・“奇跡の歌い手”であろうと、殺す」
「ふざけないで・・・」
向こう曰く、この中では一番欲しい人材である僕の名前を最後にすることで、相手側には相当の動揺を与えることが出来たようだ。
タイミングとしてはばっちりだ・・・僕が持ってる最後の切り札、僕自身を切るタイミングには。
「マンドラさんの意見は、この場合、正しいよ。だから、信じられるように・・・僕が、殺されるとしよう」
僕のその発言で、この場にいる僕以外の全員が、息をのんだ。
その中でも、ペストとラッテンさんの反応が、一番大きかった。
「そこの二人は知ってるだろうけど、僕は既に、“黒死病”に発症してる」
そう言いながら、腕を隠していた服の袖をめくり、腕に浮かぶ黒い斑点が、全員に見えるようにする。
「バルコニーでラッテンさんから病原菌を直でぶつけられて、それを吸ったからだろうね。僕は潜伏期間もなしに、発症した。だから、マンドラさんの提案を採用とするなら・・・僕は、すぐに失われる。この決議の後にでも、自決しましょう」
「・・・いや、私の手で行う。私が提案したのだからな」
これで、魔王側はブラフだと笑うことはできない。
今、僕が隠しているから安心したのかもしれないし、もしかしたら僕の命を、向こうも交渉材料にするつもりだったのかもしれない。
けど、マンドラさんのファインプレーのおかげで、全てが?がる。
「黒ウサギ、ルールの改変はまだ可能か?」
「へ?・・・あ、YES!」
そうして出来た時間で、逆廻君は何か、思いついてくれたようだ。
「交渉しようぜ、“黒死斑の魔王”。お求めの奏が死なないよう、俺たちはルールに“自決・同士討ちを禁ず”と付け加える。だから、再開を三日後にしろ」
「・・・却下。二週間よ」
僕のほうを見て一瞬悩むそぶりを見せながらも、ペストはそう返した。
逆廻君の顔からすると・・・まだ、長いのだろう。
「今のゲームだと、黒ウサギさんの扱いはどうなってるの?」
「黒ウサギは火龍誕生祭の審判中でしたので、十五日はゲームに参加できません。・・・主催者の許可があれば、別ですが」
「いい着眼点だ、奏。魔王様、黒ウサギは参加者じゃないからこのままじゃ手に入らない。だが、参加する許可を出せば黒ウサギが・・・“奇跡の歌い手”だけじゃなく、“箱庭の貴族”も手に入る。どうだ?」
「・・・十日。これ以上は譲れないわ」
「ちょ、ちょっとマスター!?“奇跡の歌い手”や白夜叉には対抗手段がありましたが、“箱庭の貴族”に参加許可を与えるのは・・・!」
「だって欲しいもの。ウサギさん。大丈夫よ、私が相手するか
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