小覇王と包囲網
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らっています。それと中央の孫策軍の方々も合わせるように先陣の殲滅に入ってくれているので終わり次第共に後陣を叩きます」
「了解した。では行こうか鈴々、秋斗殿」
愛紗さんの言葉にコクリと頷き後に続く二人。なんて頼もしいんだろうこの三人は。
将として本当に大きくなった。曹操さんとの共闘のおかげだろう。
朱里ちゃん、私たちは軍師として成長できてるのかなぁ。
†
おもしろい事をする。
たった三つの騎馬が戦場を駆ける。その後、敵左翼は総崩れになった。
兵達が叫んでいた。あれが噂の――
「見事な、そして効果的な策だな」
確かにその通り。でも策もそうだけどそれを遂行しきるあの三人も相当だ。ドクンと鼓動が跳ねて体温が高騰し、戦人の血が湧きたってきた。
だめだ、抑えないと……気持ちを誤魔化すために隣で戦場を見つめている黒髪の美女にもう一つのしたい事を伝える。
「ねぇ、冥琳――」
「だめだ、雪蓮」
言う前から止められては交渉も何もあったモノではない。
口を尖らせて不満を露わにして、
「……まだ何も言ってないんだけど」
「どうせまたくだらない事を考えたんだろう? なら却下だ」
言ってみても軽く流されて取り合ってはくれなかった。
「けちー」
「はぁ、わざわざこちらからちょっかいをかけなくとも、この戦の最中にあれらの力はいくらでも見られるだろう」
その言葉にはっとした。こちらの考えていた事をいとも簡単に読み取ったから。さすがは冥琳。
「確かにそうね。んー、貸しを作る機会でもあればいいけど」
「なら祭殿に頼んでみたらどうだ?」
「これくらいの賊なら大したことないし……。まあいいわ。やめとく」
そこまでする気がなくなった。多分このままでも大丈夫。
「どうして――それはあれか?」
「そ……勘よ。じゃあもうちょっと戦場で働いてくるわ」
「気を付けてな。大丈夫だと思うが」
滾る血を抑えるために、愛するあなたのために。そして我らが悲願の一歩のために、ね。
†
前方の敵後陣からはまばらに賊がやってくる。やはり門を開きたいのかいまいちこちらに対処しきれていない。
この西側を狙ったのは正解だった。敵先陣は薄く、統率も今までに比べて粗雑。後は俺達がいち早く敵を殲滅し、孫策軍と並んで門をあけるだけ。
突撃力のある鈴々を先端に、俺と愛紗は左右を。気付けばいつの間にか陣は簡易鋒矢陣に変わっている。雛里と朱里の指示か、さすがだ。
もうすぐ抜ける、と思ったその時、敵後陣が突如討伐軍側に向かい突撃してきた。
「急にみんなこっちに! 落ち着いて迎撃するのだ!」
「鈴々、秋斗殿。なにか変だ」
相手の士気が上昇している。明らかにおかしい。
「伝令! 後方諸侯軍、黄巾賊本隊と思われる部隊と交戦
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