小覇王と包囲網
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策は……随時指示がとぶだろう。
今はこの戦端を。
漆黒の馬が駆け抜ける。軍神と燕人も馬で駆ける。
三人はそれぞれの部隊を後ろに三方向へ単騎駆けを行う。
兵は声を上げる。それぞれの将の二つ名を上げ、駆ける。
後押しされた三つの影は力強く、動揺する敵に……激突した。
千切れ飛ぶ肉、首、吹き出る鮮血。雑兵の如き兵は近づくこともできない。その噂は耳に入っているのだから。
曰く、軍神の舞は首を対価に見よ
曰く、燕人の跳躍に逃げ道は非ず
曰く、黒麒麟の剣閃にて紅華を咲かせ
幾多の仲間を屠って来たそれが自分に向けられ、賊達は恐慌状態に陥った。
遅れて各部隊が突撃をかける。動揺し、驚愕し、恐怖に震える賊は三つ首の軍に平らげられていく。
敵の戦列を馬の脚を止めずに蹂躙する三つの影は、いくつの命を喰らい続けるのか。
敵の誤算は先陣と後陣の隙間を作ってしまったこと。先陣を抜けた彼らは、踵を返し、互いに交差するようにまた先陣を斬り開く。
騎兵の敵を狙うのは簡単なことではない。戦場で、しかも前から兵が押し迫っている状況で、高速で突撃してくる馬への心理的恐怖から逃れることなどできはしないのだから。
訓練の受けていない賊などは、恐怖で竦み、縛り付けられ、なすすべもなく蹂躙されるしかない。
二つ名の利用は絶大だった。兵の士気があがり、敵に怯えを植え付け、同時に彼らの戦闘を大幅に助ける。
もはや目の前の賊は烏合の衆。逃げる賊が足を引っ張り、互いの動きにまで影響が出る。
「魚麟陣形、敵中央に突貫、押し広げてください!」
とりあえずは成功。しばらくは兵で対処できる。あの三人が戻ってきたら次の行動を。
息を弾ませ中軍に戻ってきた三人は馬から降りる。
「お疲れ様でした」
「ああ、雛里。よくできた策だった」
そう言って褒められる。秋斗さんの姿を見て心から何故か安堵の気持ちが湧いてきた。
「ああも見事に敵兵が崩れるとは」
「やっぱり雛里はすごいのだなー」
しかしあんな凄い三人に褒められると照れる。
「あわわ、あ、ありがとうございましゅ」
やはり恥ずかしくて、照れくさくて噛んでしまった。
私は頭を使う事しかできないから、朱里ちゃんと一緒に策を出す。でも今回採用されたのは私の策。
「で、ここから我ら三人はどうすればいい?」
「前線にて敵先陣左翼を殲滅、です」
「わかりやすいのだー」
「烏合の衆と化した賊に細やかな策は必要ありません。先ほどの突撃から敵は三人に恐怖を抱いたので、もう一度姿を現せるだけでこちらからの攻撃は容易になる思います」
「逃げる賊は朱里と桃香様の部隊に任せればいいのか」
「はい。後方にも他の諸侯さんの部隊がありますのでそちらに流すようにしても
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