小覇王と包囲網
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手は限りがあるとはいえ増え続ける、連携もばらばら、ならすることは一つ」
一旦言葉を切り、大きく深呼吸をしてから力強い瞳で俺達を見渡す。
「張角の早期撃破。頭を失った賊など霧散するのみ」
まさしくその通りだ。だが、
「でも何進さんを助けないと……」
そういうと思ったよ桃香。
曹操も答えが分かりきっていたのかふっと笑みを零して静かに桃香を見やった。
「ならばあなたたちの軍はそのために動きなさい、劉備。ここより私たちは別行動をとる」
「しかし張角の居場所はわかっているのですか?」
曹操の発言に愛紗が尋ねる。もっともだと思う。未だに敵の首魁の場所は割れていないのだから。
「すでに斥候からの情報で当たりがついているわ。ただ不確定なため他の諸侯に教えることはできない」
さらりと話す荀ケ。情報収集能力はさすがと言うべきか。それに俺たちにも教えないのは手柄は渡さないと暗に伝えているのだろう。
「そ、それでは私たちの軍は袁術さんの客将である孫策さんの軍と共闘することを勧めます」
「私もその案を推します。戦場で即席の連携をするには少数同士のほうがいいので。それにあの軍は精鋭揃いと聞いています」
雛里と朱里が提案する。確かにほかの諸侯は数ばかりで合わせにくい。これが俺達にとっては最善の選択だろうな。
「わかった。……曹操さん、私たちはその方向でいってみます」
桃香が返事をすると曹操は立ち上った。
「決まったようね。これで後は各軍の問題。お互い成功させましょう、劉備」
「はい! これまでありがとうございました曹操さん」
「では、また会いましょう。後の事は戦後に」
そうして共同軍議は呆気なく終わった。曹操はここを野営地とし、張角の撃破に向かうようだ。俺たちは義勇軍を引き連れて孫策軍の野営地の近くに陣を組んだ。
†
ほかの軍と策を話し合っている暇はもうない。意見が分かれることもあるのだから。
曹操さんと行ったのはこれまで共に戦ってきたからだ。別行動になるだろう事はわかっていた。優秀さを信じていたから。
これからは私達が各軍の状況を見て判断するしかない。
ここは手柄を奪い合う獣が集まっただけ。なら桃香様のために、出来る限り最大の功をこの軍に。
「義勇軍全軍、整列いたしました!」
愛紗の報告で賊のいる方角を見ていた桃香が振り返る。
「了解だよ。義勇軍の皆! この戦には黄巾のほとんどが集まってる! 窮地にいる大将軍を助けて、黄巾をやっつけちゃおう!」
湧きあがる声、士気は上々といったところか。
「行くぞ! 敵は組織力も曖昧な愚鈍な兵のみ! 私達義勇軍の力を見せつけよ! 全軍進撃!」
進む、進む。黄巾は我らに気付く。
大量の賊がこちらに向かう。
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