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戦国異伝
第百四十六話 闇の仕掛けその十二

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「よいな」
「では」
「そうじゃ、この戦はこれまで以上にな」
 どうするか、そのことも話す信長だった。
「必死に戦うぞ」
「全ての力を使って」
「五郎左、御主もな」
 丹羽自身にも声をかける。
「城を築く中じゃがな」
「それでもですか」
「働いてもらう、そちらでもな」
「わかっております」
 丹羽は信長の言葉に頭を下げて応えた。
「そのことは」
「忙しいが頼むぞ」
「勿体ないお言葉、それでなのですが」
 ここで丹羽が言うことはというと。
「民達ですが」
「民には一切危害は加えぬ」
 最初からそのつもりはない、信長は無辜の民には一切手を出さないことで知られているがそれは今もなのだ。
「絶対にな」
「では一向宗の者達は」
「歯向かうならば斬る」
 これもまた信長だ、敵には容赦しないのだ。
「しかしじゃ」
「降った場合は」
「その場合は助ける」
 そうするというのだ。
「悪事を犯しているなら別じゃがな」
「例え本願寺の者であろうともですな」
「わしは顕如が降ればよいのじゃ」
 信長はその考えだった、それを今丹羽にも言うのだ。
「それでな」
「しかし殿、石山御坊は」
 丹羽はそう言う信長にその本願寺の本山のことを話した。
「あの場所は」
「よい場所じゃな」
「守るにやすく攻めるに難いです」
 だからだというのだ。
「例え顕如殿が降ろうとも」
「あの城に篭られるとな」
「また何かあれば厄介ですが」
「ならばあそこから出てもらおう」
 降れば、というのだ。その時は。
「そうすればよいな」
「ですな」
「いや、それに加えてじゃ」
 さらにだった、信長はここでこうも言った。
「もう一つある」
「といいますと」
「本願寺は大き過ぎる」
 今言うのはこのことからだった。
「降ればその後はな」
「どうされるというのでしょうか」
「二つに分けるか」
 そうしようかというのだ。
「ここは」
「本願寺を二つにですか」
「顕如には子が二人おるしな」
「そのこともあってですか」
「うむ、本願寺を二つに分けてじゃ」
 そうしてだというのだ。
「その力を分けるか」
「それで今後今の様な巨大な存在ではなくすのですか」
「今の本願寺は強過ぎる」
 実際に信長自身も今その全てを賭けた戦に向かおうとしている、そうでもしないととても勝てない相手であるからだ。
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