第四章
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た。そんなのを持ってどうするんだって顔で。
けれど俺はそれに構わなかった。その足で駅に向かった。街を出る為に。
「あばよ」
病院を出た時に振り返ってこう告げた。これでさよならだった。アパートに戻ってそれだけが残ってたギター。丁度これだけは持って行こうと思って残していた。その時に二人でこの部屋で最後に飲むつもりだった。けれどそれができなくなって。俺は一人でまずいビールにつまみを胃の中に押し込んでから部屋を出た。もうこれでお別れだ。
駅に着くとすぐに電車が来てそれに乗った。乗って暫くしてギターを手に取って奏でる。ビールで酔ってる筈なのに上手く動いた。奏でるのはブルース。古い懐かしいブルースだった。
俺とあいつの為のブルース。いなくなった、ここにいる筈だったあいつの為のブルース。俺はそれを奏でながら街を出て新しい場所に向かった。あいつの分まで真面目に生きる為に。たった一人で。
Two Kids Blues 完
2008・5・17
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