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戦国異伝
第百四十六話 闇の仕掛けその九
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「あの二つの家が来るな」
「その通りです、両家共動くには少し時がかかりますが」
「その時には」
「織田家と本願寺の戦は長くかかります」
「ですからその長い戦の間にです」
「武田と上杉が来れば」
「如何に織田家とて」
 終わりだとだ、天海と崇伝も確信していた。彼等にとって織田家に対する手は実ろうとしているところであった。
 だからこそだ、義昭にもこう言うのだ。
「公方様、それではです」
「我等もです」
「我等とな」
「そうです、幕府もです」
「公方様御自らです」
 義昭自身もどうするべきかをだ、二人は囁く様にして言うのだった。
「挙兵されるのです」
「そうされるべきです」
「何っ、余もか」
 義昭は自分もと言われて思わず声をあげた。そのうえでこう彼等に問うた。
「余も兵を挙げるのか」
「幕府をないがしろにする織田信長を討つ為だと」
「そう仰ってです」
 そのうえでだというのだ。
「兵を挙げられれば」
「それであ奴は大義名分を完全に失います」
 彼等は実際には大義名分なぞどうでもいいと思っていた、しかし信長を追い詰める為のさらに一手として言ったのである。
「ですから」
「ここは公方様も」
「ううむ、余自ら戦をするのはな」
 どうかと言う、だがだった。
「どうもな」
「お好きではありませぬか」
「そうなのですか」
「しかしそうも言ってはいられぬな」
 自ら戦の場に出るのは好まない、実は彼は根はかなり臆病なのだ。それによって傷ついたり死ぬことは絶対に嫌なのだ。
 だが、だ。二人にこう言われてはだった。
「ここはな」
「そうです、公方様さえ出られればです」
「織田家は完全に詰みます故」
「ここはどうかです」
「出陣を御願いします」
「わかった、ではな」
 ここでやっと義昭も頷いた、こうしてだった。
 彼もその時が来れば出陣することにした、幕府もまた挙兵の準備を進めだしたのだ。このことは極秘に進められた。
 それこそ織田家の禄を貰っていない者だけを集めて彼等だけで進められていた、しかし明智はこのことに微かに気付いた。
 それでだ、こう細川に言ったのである。
「どうやら公方様は」
「近頃う動きが妙ですが」
「はい、どうやらですが」
 確証はない、だがそれでもだというのだ。
「兵を挙げられるかと」
「織田家に対してですか」
「どうやら」
 こう細川に囁くのだった。
「我等に伝えぬうちに」
「我等にはですか」
 主だった幕臣達にもとだ、星川も言う。
「そこまでされますか」
「どうやら」
「今から本願寺との戦になりますが」
 最早このことは決まっている、幕臣である彼等も戦の用意に忙しい日々だ。明智はその中で彼に言って来たのだ。
 その話を聞いてだ、細川は信じ
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