暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
〜幕間〜 規律と責任
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 黄巾の賊達を次々に壊滅させていた俺達、劉備義勇軍と曹操軍は物資の補給を行う為に、近くに打ち捨てられていた大きな廃城にてしばしの休息期間を設けていた。
 これはそんな日の一幕。



 合同訓練と称して夏候惇、夏侯淵と共に試合を行い、終わったと同時に倒れ込む。
 彼女たちはやはり経験が違うのか、一歩も二歩も先を行っていると感じられた。
「ふはは、情けないな徐晃。その程度では自分の主も守れまい」
 不敵に笑う夏候惇からの言は正しい。長い進軍も初めての事で、どうやら俺にも疲れがたまっているらしく、身体も思考も鈍ってしまっていた。
「そう言うな姉者。義勇軍としては素晴らしいと思う。だがやはり限界があるというモノだ」
 夏侯淵は、言葉を交わす事も多いので分かったが気遣いが出来る大人の女性だ。対して夏候惇は、戦場ではピカ一だが 普段はどこか可愛らしい子供の一面を見せる。
 姉妹間ではうまくバランスが取れているようで、一歩引いた夏侯淵が夏候惇を諌める場面もしばしば見受けられた。
「むぅ、確かに凪や真桜、沙和たちに比べると頑張っている方か」
「ん? 彼女達はお前さん達と違うのか?」
「ああ、あの三人も義勇軍上がりだ。お前達劉備義勇軍と出会う直前に私達の軍に華琳様が引き抜いた」
 両者から敬語は気持ち悪いからやめろと大層傷つく事を言われているので普通に聞き返すと夏侯淵が答えてくれた。
 二人が話すのは楽進、李典、于禁の三人の事だが、彼女達は俺よりも先にダウンして、各々の天幕に戻っていた。
「そろそろ私達の軍に慣れて貰いたいのだがな……」
「気合が足りんのだ。華琳様を守り、華琳様の為に戦うという気合が」
 子の成長を見守る親の瞳で話す夏侯淵と、根性論を説く夏候惇。しかしこの世界は本当におかしい事だらけだな。性格が逆だとまだ納得が行っただろう。
 少し落ち着いたので立ち上がって二人に話しかける。
「夏候惇殿が言う事も一理あるか。無茶をするのはいけないが、曹操軍にしては甘い所もあるしなぁ」
「どういうことだ?」
「それはな――」
 少し前の出来事を二人に話して聞かせる事にした。

 †

 近場の賊討伐も終わり、兵の確認などを行っていた。
 今回は曹操軍の楽進と共に行動していたので二人で指示をだしていると、俺の隊のほうで何やら兵達の中に騒がしい箇所があった。
「おい、どうした?」
「へい、それが……こいつが火事場泥棒をしやがったんです」
 見ると一人の兵が縛られていた。ケッと斜に構えた態度で反省の色も見えやしない。
 行動を続けるにつれて義勇軍志願もたまに出てくるのだが、この兵はそんなうちの一人。
 何事かとついて来ていた楽進にもその事実が知られてしまった。
 これでは曹操軍にも迷惑が掛かるだろう。
「そ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ