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八条学園怪異譚
第四十八話 薔薇園その十五
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「それでなのよ」
「そうなのね」
「おかしなことだけれどね、物心ついた頃からずっと一緒にいるのね」
「確かにね、姉妹みたいなのにね」
「それで遠慮するっていうのも」
「ちょっとね」 
 おかしなことだとだ、二人で話してだった。
 それでだ、愛実は自分達を後ろで見守っている茉莉也の方を振り向いてだ、こう言ったのだった。
「先輩にはそんなのないけれど」
「そうよね、青木先輩にはね」
「何かそういうのないけれどね」
「むしろ身構えるわね」
 勿論茉莉也のセクハラからだ、そうしたことがだと話してだった。
 あらためて二人でお互いに手を握り合ったままゲート、泉であるかも知れない場所をくぐった。そして辿り着いた先は。
 今回もだった、ただくぐっただけで。
 二人はその足で茉莉也達のところに戻った、そのうえで言うのだった。
「次の場所行きますね」
「多分柳道に」
「わかったわ、じゃあ次ね」
 茉莉也は二人の話を聞いてこう返すだけだった、だが。
 茉莉也を見るとだ、もう飲んでいた。白いイギリス風のプラスチックのテーブルの上に座ってそうして酒を飲んでいた、飲んでいるのはローズワインだ。勿論精霊も一緒だ。
 茉莉也はカマンベールチーズを美味しそうにフォークで食べながらだ、二人に対して笑顔で言うのだった。
「あんた達も飲みなさいよ」
「あっという間に用意されたんですね」
「それで飲まれてるんですか」
「そうよ、動きは早いからね」
 それでだと言ってだ、そうして。
 茉莉也はそのイギリス風の白い網にも似た穴がところどころに空いているテーブルに椅子をもう二つ出してきた、そしてグラスもだった。
 そうしたものを出してだ、二人を座らせてから飲みつつこう言った。
「ワインもいいのよね」
「先輩お酒なら何でもいいんじゃ?」
「ひょっとして」
「まあそうかもね」
 自分で否定しない茉莉也だった、見ればローズワインも実に美味しそうに飲んでいる。
「こっちもね」
「焼酎もビールも好きだし」
「ウォッカも飲まれてましたよね」
「確か他のお酒も」
「ええ、お酒は本当に何でも飲むわ」
 実際にそうだと言いながらさらに飲んでいく。
「だからローズワインもね」
「ううん、そうですか」
「それでチーズもですね」
「よく見れば結構チーズも召し上がられてますね」
「お酒と一緒に」
「チーズはね、元々好きだし」
 このことも否定しない茉莉也だった、見ればチーズもぱくぱくと食べている。
 そしてだ、精霊を見てこう言うのだった。
「ただ、精霊さんと一緒に飲むのはね」
「最近なかったわよね」
「誰かと飲むのが一番いいわ」
 一人酒もいいが、というのだ。
「こうしてね」
「そういえばいつも妖怪さん達と一緒ですね」

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