第四十八話 薔薇園その十三
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「この通りね」
「そうみたいね、それでだけれど」
「私達が今日ここに来た理由はね」
「泉のことよね」
「そうなの、そのことなの」
「それでなの」
二人は精霊にすぐにこう答えた。
「それで今日はここに来たけれど」
「まさか先輩もおられるなんて」
「何よ、私は余計みたいじゃない」
「余計っていうかイレギュラーです」
「おられるとは思っていませんでしたから」
二人は文句を言う茉莉也にかわす様に話した。
「先輩と薔薇っていうのも」
「何か違う感じですよ」
「いやいや、お花を見ながら飲むのもまたね」
ここでも酒だった、この辺りが実に茉莉也だ。
「いいのよ」
「ううん、やっぱりそこですか」
「お酒になるんですね」
「お花見にはお酒でしょ」
こうまで言い切る。
「今晩は精霊さんとね」
「ローズティー飲もうってお話してたのよね」
「そうそう、神父さんとかドラキュラさん達も読んでね」
「満月の下でね」
「神父さんとドラキュラさんが一緒で満月の下でローズティーを飲む巫女さんですか」
聖花は茉莉也と精霊に楽しそうな会話を聞いてこうなると想像して言った。
「何処からどう突っ込んだらいいのか」
「カオスよね」
「ええ、この学園らしいけれどね」
首を傾げさせながら愛実に応える聖花だった。
「そういうのも」
「そうよね、けれどね」
「先輩とお酒の組み合わせもね」
「ここまで及ぶのかって思うわよね」
「何言ってるのよ、飲まないとね」
どうかとだ、その茉莉也が力説してきた。
「夜じゃないでしょ」
「たまには休肝日作った方がいいですよ」
「さもないとお身体壊しますよ」
「まあ時々飲まない日は置いてあるわ」
たまには、というのだ。
「だから安心してね」
「頼みますよ、長生きして下さいね」
「お酒を飲まれるのもいいですけれど」
二人は茉莉也にこうも言った、酒は百薬の長であるが同時に百毒の長と言ってもいいものだからである。
「その辺りは気をつけて下さい」
「末永く一緒にいたいですし」
「あら、じゃあずっとね」
茉莉也は二人の今の言葉ににこやかに右手を手首のスナップを利かせて前後に数回振った、そのうえで言うのだった。
「触らせてくれるのね」
「それは遠慮します」
「お願いですから止めて下さい」
「やれやれね、とにかくね」
「はい、泉ですね」
「ここの泉は何処ですか?」
「あそこよ」
こう言って二人に白いプラスチックのゲートにさらに多くの薔薇を絡ませて作った緑と紅のゲートを指し示した、そこがだというのだ。
「あそこを潜ればね」
「今からですね」
「そうすれば」
「泉は十二時ってことが大抵だけれど」
茉莉也は時間のことも話した。
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