覇王との対面
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仕事の引き継ぎ、私物の整理、白蓮とのお別れを済ませた俺達は、慣れ親しんだ街から離れ黄巾討伐のため進軍を開始した。
「さて、敵を選んで戦うとはいったモノの」
先に周囲に放った斥候からの情報ではなんと最初の敵は一万。対して、こちらの義勇兵はどうにか六千程度。
どうしてこうなった。
近くに見つかったので戦わなければ集まってくれた兵達が不審を抱く。だが兵法の基本は数だというのに明らかにこちらのほうが少ない。
「まさか最初からこんなのと戦うことになるとはねー」
情報が入った時、桃香がほへーっとした感じで言った。正直、気が抜けるんだが。
「桃香様、少しは緊張感というものをですね……」
「あはは! お姉ちゃんはいつも通りノーテンキなのだ!」
愛紗が咎めようとするも、無邪気な鈴々に割り込まれ、結局桃香のいつものゆるい空気に全てが呑まれてしまった。
しかし仮にも戦場近くだぞ……まあいいか、兵も最初は数を聞いて圧倒されていたが、桃香達のいつも通りの雰囲気に少しはリラックス出来たようだ。
そんな中、きゅっと胸の前で手を合わせ、意を決したように我らが軍師達が喋りだす。
「この辺りの黄巾の要所となる場所が近くにあったのは僥倖でした」
「それに一万程度で守るという事は他に進軍しているか、官軍等の対処にまわっているんだと思われます」
なるほど。確かに一万で守るとなると官軍相手にはちと厳しいだろうな。しかし……話す二人に何か違和感が……まあいいか。
「でもどうやって数の差を埋めるの? 戦いは数だよ」
援軍に送られてきたのが呂布一人、とかならそのセリフ使えそうだな。
「このあたりは最近の雨量低下と治水変更により干上がった川があるはずです。そこまでおびきだせれば……」
桃香に作戦の理由を次々に説明する軍師二人。ほんとすごいな。桃香も愛紗もやはり感嘆している。
俺も同じように二人の凄さを改めて確認していると、突然クイクイと服の裾が引かれる。鈴々が不足気味にこちらを見上げていた。
「お兄ちゃん、どういう事なのだ?」
「あぁ、敵が弱いけど多いんだ。ちょっと離れた所にある昔の川で楽にぶっとばせるってことだぞ、鈴々」
どうやら理解出来ていなかったらしいので簡略して説明した。これでいいだろ。
「なるほどー! さすがお兄ちゃんの説明はわかりやすいのだ!」
それを聞いてか軍師二人は残念なものを見る顔で俺と鈴々を見やる。待て、俺まで脳筋扱いするな。
「こほん、では作戦を説明します。愛紗さんと秋斗さんには先陣を切って頂きます。敵後陣がこちらにぶつかった際に反転、後に鈴々ちゃんの部隊と交代してください」
「じゃあ鈴々は後陣で殿として皆を守ればいいんだなー?」
「その通りだよ鈴々ちゃん。私が補佐に付くから頑張ろうね」
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