長い乱世の入り口に
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わかったよ! こっちは安心して。白蓮ちゃんは烏丸に集中してね」
はきはきと言う彼女の瞳は明るい光を宿していて、任せても大丈夫だと心からそう思える。ありがとう桃香、心強い。
「しかし伯珪様、これは勅、我らも参加すべきでは……」
「未だに烏丸は動く気配がないのですし」
「そうですぞ。攻めて来ると言って準備したのに未だに来ないではないですか!」
「官位もあげる機会、逃すのももったいない」
「烏丸等恐るるに足らず!」
しかし口々に騒ぎ出す部下達。こいつらは本当に……
その様子を見てか、牡丹がガタッと椅子を勢いよく押して立ち上がり大きな声を上げた。私の代わりに言ってやってくれ。
「静粛に! 白蓮様が話す事を聞いてから一人ずつ話しましょう! すばらしい白蓮さまのお言葉が耳に入らない? それはおかしいですねきっと頭の中まで腐っているのでしょう私たちの耳は白蓮様の声を聞くためにあるのですからならば悪いのは頭です一回頭蓋を開いて洗うのはどうでしょうそのまま洗っていけば驚きの白さ脳髄はまるで白馬のようあぁ少しでも白蓮様のお肌のように白くなれるのならそれもいいかもしれませんではさっそく行いましょうすぐに今すぐ「お前が! 静かに! しろ!」ひゃん! ありがとうございます!」
期待とは裏腹にいつもの如く暴走しだしたので怒鳴ってしまったが、恍惚の表情で感謝を述べ、口を塞ぐ牡丹。何がそんなに嬉しいんだ。
結局私が言うしかないらしく、すっと胸を張って説明を始める。
「奴らは蛮族だが、狡猾だ。内地で大規模の賊が出たこの好機は逃さんだろう。それに客将とはいえ劉備義勇軍もここの軍だ。適材適所、そうだろう?」
まだ納得しない様子なのでもう少し私の気持ちも話しておくことにする。
「私はこの地を蛮族から守れという勅も受けているんだ。そしてここは私の家だ。私の民達の家だ。だから私が守るんだ」
しんと静まり返る部下達。牡丹が何故か泣いているが無視しておこう。
少しの間をおいてやれやれというようにそれぞれが苦笑した後、
「まったく……親と同じで頑固者というか」
「これこそが伯珪様でしたな。くくっ」
「伯珪様一人では不安ですから私たちが手伝いましょう」
どうにか納得してくれたようだった。うん。飛び抜けて優秀ではないが、本当にいい部下達だ。
「ありがとう。では会議を続ける。まず烏丸への対策兵数から――」
会議が終わり、朱里ちゃんと雛里ちゃんに先に私達の執務室に行ってもらって、私は白蓮ちゃんのところへ話をしに向かう。
「やっぱりすごいなぁ、白蓮ちゃんは――」
あんなに優しい人たちにたくさん好かれているんだもん、と続ける前に、
「桃香」
途中で言葉を遮られた。どうしたのかと首を傾げてみたら彼女は真剣な面持ちで話し始める。
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